2015/10/13

ハタハタの炊き込みご飯






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 朝方テントの中で横たわっていると、ゴジュウカラと思われる小鳥が、ちゅんと鳴きながらテントに止まって餌を探し始めた。薄い布地を挟んで頭からわずか十センチメートルほどしか離れていない場所で、愛らしく動き回り、鳴く。はっきりとしたシルエットがテントの壁に映し出される。

 岡に登り蛇行する川を見下ろした。上空を見上げれば、青空を背景に秋真っ盛りの広葉樹が広がる。この世界に生まれた全ての色を集めてきたのだろうか。まるで美しさを表現するためだけに色というものが存在しているかのようだ。
 キツツキがとんととんと木を叩くのが見える。ゴジュウカラが虫を探して樹皮をつつきまわる。ちっちづぅぃづぅぃづぅぃと姿の見えぬ鳥が鳴く。りゅいりゅいりゅいとまた鳥が鳴く。

 昼食に、昨夜炊いた玄米と、焚き火で焼いた牛肉をサイコロ状に切ったものと、人参で焼き飯を作る。これがうまい。もともと玄米は焼き飯に合うのだろうが、さらに焚火牛肉との相性が抜群だ。うまいうまいと味わいながら喰う。 

 秋田産100パーセントコシヒカリ新玄米をプレ発芽させたものと(24時間水に浸す)、ベカンベウシの広葉樹の焚き火で6時間ほどかけて遠火で炙ったハタハタと、ベカンベウシ川の水で炊き込みご飯を作った。
 こんなにうまいご飯がこの世にあったのだろうか。米を一口食べれば、あまりにも上品な上品な上品な香りと味が鼻と口一杯に広がり、その絶妙な上品さのゆえに、なんど口に運んだところでまったく飽きることがない。例えようがないが、酔いしれる香しさとでも言おうか。炊飯中の香りからしてうっとりするほどなのである。
 そしてまったく驚くことに、玄米と水とハタハタ以外に、調味料、塩、ダシなどはいっさい何も加えていないのである。


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