2012/04/11

ザ・ケネウィックマン・エクスペディション、10日目



正午にコロンビア川へ漕ぎ出し、カヤックが引っくり返ったときの練習をした。

上体を左右に傾けると、カヤックも左右に傾く。多少傾く程度では、浮力が逆方向に働いて安定し沈没することはないが、角度の限界を越えたとたんに、ゆっくりではなく一気に引っくり返る。

体はカヤックにすっぽりと嵌ったまま、水中で真っ逆さまになる。斜めになることはなく、真っ逆さまだ。空の光が、水面を通して足元に揺らめく。慌てずに、体とカヤックを繋ぐ装備を外してコクピットから抜け出し、水面に顔を出して息をする。

逆さまになって浮いているカヤックを、体重をかけながらひっくり返し、元に戻す。

水に浮くカヤックの上に這い上がるのは、体を支える、すなわち力の支点となる地面や構造物がなく、またカヤックは不安定で容易に引っくり返るので、波一つない静かな水面でも難しい作業だ。バタ足で水を蹴ったり小さな浮きを使ったりして、カヤックの上に這い上がり、コクピットに体をねじ込む。

最後に、船内に入り込んだ水を、手動のポンプで外に排出する。

二時間ほど繰り返し練習をすると、少し気分が悪くなるくらい疲れてきた。テントに戻って一時間ほど昼寝をした。