2015/10/26

湿原の風









 今朝はうっすらと積もった雪景色が朝日に映えて美しい。澄んだ氷のような一日が始まった。
 しかし気温は低い。朝食後の食器洗いは、凍り付かせてしまった手袋とスポンジでする羽目になってしまった。

 昨日に比べれば風が弱くなっていた。吹き曝しだからある程度の風は吹くものだし、食料も少なくなってきているからなと判断して、今日は下ることにした。
 なんど漕いでも湿原は素晴らしい。突風にカヌーがあおられて、ひっくり返らないようにバランスを取らなければならないこともあったが、ざざざざざと強い風にアシがざわめき渡る湿原もまた魅力的で、何かが僕を強烈に引き付けていた。
 
 アシがなびく。僕の遠吠えは湿原の強い風に霧散する。それでも僕は吠え続けるのだ。


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