俺の中にも住んでいる理系と文系の頭。その理系の頭が、アラスカをカヤックで下りながら聞こえてくる自然の微かな音を、どのように動画へ記録するか考えていた。
先輩である坂巻照之に話を聞いてみる。とても深い話をしてくれた。「なるほどね、そういうことか。わかるよ。」って、いまの俺のレベルで理解した彼の言葉。
人間の耳は素晴らしい感度を持っている。その音を再現しようとしても電気・機械の原理的な限界にぶつかる。
ましてや自然の中に深く分け入って、音に対する感覚が磨かれた状態でいる時には、『自分も自然の一部』になっている時だ。もうそうなると、その時聞こえている音は、外部から機械で録れる訳がない。りょうちゃん、理系の頭ではなく、文系の頭へとスイッチを入れ替えなければだめだよ。
みずから自然の中に入り、みずから電気回路を触る男の話である。
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