埼玉の夜は明るい。街の灯りが雲を夜空に浮き上がらせる。
それでも浅場ビオトープの夏の雑木林の黒いパッチと、雲の白いパッチの間に、こと座のベガが燦然と輝いていた。
25光年離れた恒星である。25光年……私が自力で移動したのはたかだか5,200キロメートル。地球一周はその8倍の40,000キロメートル。光はその地球をたったの一秒間で7周半も回る。
その光ですら25年も掛かってやっと到達できる距離。想像の域を超えたそのはるか彼方にあるベガという物体が、あんなにもはっきりと見えるほどに輝いているとは、いったいどのような明るさだというのだろうか……
畏怖の念。この遥かなる宇宙。
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