2016/07/25

Losing position and time in light

437ad563-0fdd-4257-801c-22a8c8bd048d-145641074.jpg

Day 53

Passing Circle and entering into Yukon Flats, the situation of the river changed entirely.
The rive width became infinite, and an infinite number of islands filled the river. The stream branched as meshes of a net, and it was difficult to distinguish the main stream and effluents. Hills disappeared, and only a water and woods on flat and thin islands spread on the horizon. Sunlight and reflected light by ripples filled the space surrounding me. I lost my position and speed in space, just floated in space. Losing a position and a speed meant losing a time. Everything lost a relative reference.
I lost an interest in a map, a watch and a kayak speed, and just floated in the light.

The zip of the entrance of the tent was worn down and became not functioning any more. It is the critical problem to survive in the cold and rain in Alaska. It seems that I can not fix it, and there will be no town to purchase it along the river. It might be all up with me.

Total distance: 858 mi

53日目

 サークルを過ぎ、ユーコン・フラットに入ってから、川の様子が一変した。
 川幅は無限の長さとなり、無限個の島で埋め尽くされている。川の流れと島が網の目状に交錯し、どれが本流でありどれが支流であるのか、よく見分けがつかなくなった。丘はなくなり、薄くてまっ平らな島に生えた林と、水が、地平線に広がるだけだ。
 明るい太陽が降り注ぎ、川のさざ波で反射し、周囲の空間は光で埋め尽くされた。もうなにがなんだか分からなくなった。もはや自分が空間の何処にいて、どのような速度で移動しているのか、分からない。空間を失うと、時間の感覚も失った。沈むことのない太陽とあいまって、もう今が何時であるのかと問うことは意味を失い、そして時間の進む早さも意味を失った。空間も時間も、相対的に測る基準を失ったのだ。ただ光満ちあふれる空間に僕は浮いているだけだ。
 東京が一瞬頭をよぎった。もはや東京もよくわからなくなっていて、あれだけの狭い空間にあれだけの人間が集まっているのは不思議だった。いまいるこことは異なる遠い場所でおきている、世界のある一つの状態に過ぎないと感じた。
 地図にも興味を失い、時計にも興味をうしない、速度にも興味をうしない、ただ光の中に浮くだけの時間を過ごした。

 テントの入り口のチャックが摩滅し、閉まらなくなってしまった。虫除けのネットしか使えない。ここから先、北極圏をかすめながら漕ぎ続けるのであるから、寒さで寝れなくなるし、そもそもいますでに、毎日降る雨がテント内に進入してしまう。修理はできそうにもないし、テントを買える町はもうない。テントは衣服の次に重要な、生存のための道具だ。これはちょっとアウトかも。
 長靴、太陽電池パネル、上下の服の防水機能、液体燃料ストーブのパッキン、そしてテントと、今回もいたる物資が壊れてきているが、製品の耐用「年数」ではなく、製品に使われている素材の耐久「時間」というものを、まだまだ経験不足で把握しきていない、ということになる。

総距離: 1,372キロメートル

manDisplay the current location and the tracking map

0 件のコメント:

コメントを投稿