Day 60
The floor of the tent loses a water proof function and rain starts to come into the tent through it. The tent fly gets damage by ultraviolet rays and starts to be torn when it was stretched. Um... I wonder if I can survive the fall storm coming from the Bering Sea with this situation.
I think that I still have room for figuring out, say, to repair with a duct-tape or someting.
It is going to be my new experience, that I have to consider deterioration of materials of all equipments and have to change those in more short replacement cycle than I imagined, when I do a long term expedition and drive those hard.
I am waiting the storm to leave. It is the first time in many days to keep stay at same place, and I hope that it becomes a nice rest for my body although my mind is seeing ahead.
60日目
テントの床の防水性が失われ、浸水するようになってきた。外張りは紫外線で劣化し、引っ張ると裂けるようになった。うむ・・・・・・ベーリング海から迫り来る秋のストームを乗り切れるか。
グランドシートを一回り小さく畳んで地面に敷くとか、ダクトテープで補修するとか、まだ工夫の余地はあるかもしれない。
装備全般において、長期遠征ではそれを酷使するから、素材劣化をしっかりと計算にいれて想像以上に早いサイクルでの買い換えが必要なようだ。これもまた一つの経験の積み重ねのようだ。
ストームが過ぎるのを待っているが、停滞するのはかなり久しぶりのことで、気持ちは先へと焦るが、体にとってはよい休息となってほしい。
2016/07/31
New experience
2016/07/30
Storm from Siberia
A storm coming from Siberia has hit me today. When I started paddling it was just light rain, but rain, wind and wave began to appear soon. Those increased gradually, and then, to control the kayak became difficult and it was dangerous situation. So I pulled the kayak up on an island and waited until it passes.
It is early storm and the storm season should come to Alaska.
Total distance: 998 mi
59日目
今日はどうやらシベリアからきたストームに襲われたらしい。テントをたたんで漕ぎ始めたときは小雨がぱらつく程度だったが、すぐに雨と風と波が出始めた。徐々に強くなり、漕ぎ始めて二時間ほどするとカヤックをコントロールするのが難しく、危険な状況になったので、島へ一時待避した。
積乱雲がもたらす集中的な強い風雨や、広範囲にしとしとと長く降る雨などは当たり前にあるので、それらを避けていれば先へ進むことはできず、ゆえにかまわず漕いでいたのだが、今朝はそれらとストームとの区別がつかなかった。緯度経度も地形も、そして季節もぐんぐんと変化しているので、空の様子から気象をうかがう経験則を蓄積しづらい。
徐々にストームのシーズンへと入り始めたのだろう。
黒熊に対峙したとき、まだ比較的冷静に対処できたのは、ユーコン川源流のウィンディー・アームで、あらがいようのない波風に揉まれて恐怖を味わったからだろう。熊とはまだ対等にやりとりできる。だが自然が相手のときには、その力が人間の技量の限界線をわずかにでも越えてしまえば、もうどうにもならない。たとえるならば、どうあがいても時速4キロメートルの速度しかでないカヤックで、時速4.1キロメートルの水流に乗ってしまえば、いやおう無しに流されるしかないのだ。
総距離: 1,596キロメートル
Display the current location and the tracking map
2016/07/29
Notes of violin in Arctic Circle
Day 58
I listened the notes of a violin in the Arctic Circle.
Floating the kayak on the Yukon River, I played the album of Kaito Ikeda. Melody came out from the space which only the sky, water and the horizon were there.
I do not know more luxurious way of listening.
Total distance: 981 mi
58日目
北極圏でバイオリンの調べを聴いた。
ユーコン川の上にカヤックを浮かべながら、池田開渡のアルバムを流した。空と水と地平線しかない空間から、旋律が染み出てきた。
これ以上に贅沢な聴き方を僕は知らない。
総距離: 1,569キロメートル
2016/07/28
Yukon Flat
Day 57
Yukon Flat is an amazing place. The main stream winds in the vast river, which looks like a lake, although we can not see it directly, like that an air stream winds in the vast sky although we can not see it directly. A river flows in a river. An invisible water way is in the water.
I have to distinguish the main stream to avoid shallows. If I get stranded in the shallows and the angle against the water current is unsuitable, my folding sea kayak will bends easily. However, it is not easy because the transparency of the river is less than one inch and I can not see the shallows.
I am imagining the line of main stream in the extensive water with intuition acquired in other rivers, and I am paddling through that line.
Total distance: 948 mi
57日目
ユーコン・フラットは凄いところだ。広大な青空の中を、直接見ることはできないが、気流の帯がうねりながら走っているように、湖のように広い川の中を、直接見ることはできないが、水流の帯がうねりながら走っている。川の中を川が走っているのだ。水の中に見えない水の道があるのだ。
この本流を見つけなければならない。なぜかと言えば、本流を外れてしまうと、至る所に浅瀬という罠がしかけられているからだ。浅瀬に座礁してしまうと、水流に対する角度などの条件が悪ければ、僕の大きなフォールディング・シー・カヤックは、水圧に負けていとも簡単に折れてしまうだろう。また浅瀬に乗り上げた流木にカヤックを引っかければ、一発で折れる。
ところがこの浅瀬は、水が濁っていて一センチの見通しもきかず、直接見ることができないので、パドルがガリッと不意に小石を引っかくか、ラダーがゴリゴリと小石に当たるかしないと、そこにあることが分からない。すなわち、浅瀬が近いと分かった時には、もう座礁直前なのであり、脱出のしようがない。実際に一度座礁して、ひやりとした。
湖のように広い川のなかに、うねりながら流れるもう一つの川のラインをイメージし、そのなかを漕いで行く。
さざ波が立っていて水面のテクスチャが異なる場所があれば、そこは浅瀬である可能性が高い。もちろん風でもさざ波が立つので、それは見分けなければならない。また流木が水面から顔を出していれば、そこは間違いなく浅瀬だ。浅瀬は本流でないことが多い。
カヤックを漕がずに流して、風に流される角度と速度も計算に入れながら、水の流れる方向を読む。水が強く流れている方向が本流であることが多い。
水面の凸凹も見る。川の水面は単なる水平面ではない。
もちろん陸地の形も見る。
経験からくる勘も使う。
ところがそれでも難しくて、本流を見分けられないときがある。また見分けられたとしても、流れが右から左へ、または左から右へと曲がる方向を変えたときに、内周の浅瀬から外周の本流へとカヤックを移動させなければならないが、川幅があまりに広すぎるのでカヤックの速度では横断できないことがしばしばある。川のスケールに対して、カヤックの速度が遅すぎるのである。横断できなければ、いやおうなしに浅瀬へと吸い込まれてしまう。
また浅瀬だけではない。幾多にも分かれて毛細血管のように張り巡らされている支流へと、飲み込まれてしまうこともある。
ユーコン・フラットに入ってからは、ただ水に流されながらカヤックの上で昼食を食べたり、歯を磨いたり、写真を撮ったりするのが難しくなった。常にカヤックを前方へ向けて、本流がどこか、浅瀬の危険は迫っていないか、注意を払っていなければならないからである。
総距離: 1,516キロメートル
2016/07/27
Living together with Yukon River
Day 56
Visiting Fort Yukon village, U.S.A., to re-supply food, I met Joyce Ward and Ida Tizya by chance, who are cousins of Shirley Lord; Shirley is who I had met in Carcross, Canada, where is more upstream from the Yukon River. Moreover, Ida Tizya lives in Old Crow, Canada, where is along one of the tributary of the Yukon River, and she well knows Bev Bingham, whose native place is Old Crow, and her family, who had become my friends at Tagish, Canada, where is more upstream from the Yukon River. What a small world.
People of first nation live together with the Yukon River, regardless of countries as Canada and U.S.A.
Total distance: 919 mi
56日目
食料補充のため、アメリカ合衆国のフォートユーコン村を訪れたのだが、偶然にもシャーリーの従姉妹であるジョイスとイダに会った。シャーリーとは、ユーコン川のさらに上流に位置するカナダのカークロスで知り合っていた。さらなることに、イダはカナダのオールドクロウというユーコン川の支流沿いにある村に住んでいて、僕の友達で古里がオールドクロウであるベブとその家族をよく知っていた。ベブとその家族とは、ユーコン川のさらに上流に位置するカナダのタギッシュで知り合っていた。世界は狭いなぁ。
先住民の人々はユーコン川と共に暮らしているのである。カナダとかアメリカとかの国境に拘わらず。
総距離: 1,471キロメートル
2016/07/26
The Arctic Circle
Day 55
Have I entered into the Arctic Circle! I have crossed north latitude 66 degrees 33 minutes. It is my first experience to paddle into the Arctic Circle and even to set foot on. It is not a national border line that humankind has drawn selfishly but the line that nature draws with the positional relationship of the earth and the sun, and it makes me being more delighted.
The midnight sun has still been and I have never seen the stars.
Total distance: 908 mi
55日目
とうとう北極圏に漕ぎ入った。北緯66度33分を越えたのだ。北極圏へ漕ぎ入るのも、踏み入るのですら初めての体験である。人間が勝手に引いた国境線とは違い、太陽と地球の位置関係から自然が引いたゆるぎない線であり、その喜びは大きい。
夏至はとうに過ぎているものの、まだまだ白夜は続き、星を見ることがない。ヘッドライトは漕ぎ始めてこのかた一度も使っていない。屋根のないテント生活を続けているので、暗闇を見ることがなく、体も眠る時刻というものをなかば見失っている。
総距離: 1,453キロメートル
Fixing tent
Day 54
The zipper of the entrance of the tent had broken down and it had not closed, from the last night. Therefore I tried to fix it, and finally I was able to change the sliding piece to the spare with a cheap multi-tool bought at Wal-Mart.
So, happily I can paddle more farther.
Last night and tonight, I have pitched my tent on islands. Less chance to encounter with bear and less mosquito there are.
Total distance: 881 mi
54日目
昨夜からテントの入り口のファスナーが閉まらなくなっていたが、修理を試みたところ、ミシンの縫い目をほどかなくても交換できる構造になっていることがわかり、ウォルマートで買っていた安物のマルチツールを使って留め金を外し、スライダーを予備品に交換することができた。試行錯誤しているときに、そのミシンの縫い目を一部切ってしまったが、強度的に大きな問題にはならなさそうだ。
これでまだ先へ進むことができる。
昨日今日と、島にテントを張っている。熊の心配が減り、なによりもアラスカの強烈な蚊が劇的に少ない。今夜の場所にはまったくいない。島には動物が少ないから、蚊の養分が足りずに繁殖できないのであろうと考えている。
総距離: 1,409キロメートル
2016/07/25
Losing position and time in light
Day 53
Passing Circle and entering into Yukon Flats, the situation of the river changed entirely.
The rive width became infinite, and an infinite number of islands filled the river. The stream branched as meshes of a net, and it was difficult to distinguish the main stream and effluents. Hills disappeared, and only a water and woods on flat and thin islands spread on the horizon. Sunlight and reflected light by ripples filled the space surrounding me. I lost my position and speed in space, just floated in space. Losing a position and a speed meant losing a time. Everything lost a relative reference.
I lost an interest in a map, a watch and a kayak speed, and just floated in the light.
The zip of the entrance of the tent was worn down and became not functioning any more. It is the critical problem to survive in the cold and rain in Alaska. It seems that I can not fix it, and there will be no town to purchase it along the river. It might be all up with me.
Total distance: 858 mi
53日目
サークルを過ぎ、ユーコン・フラットに入ってから、川の様子が一変した。
川幅は無限の長さとなり、無限個の島で埋め尽くされている。川の流れと島が網の目状に交錯し、どれが本流でありどれが支流であるのか、よく見分けがつかなくなった。丘はなくなり、薄くてまっ平らな島に生えた林と、水が、地平線に広がるだけだ。
明るい太陽が降り注ぎ、川のさざ波で反射し、周囲の空間は光で埋め尽くされた。もうなにがなんだか分からなくなった。もはや自分が空間の何処にいて、どのような速度で移動しているのか、分からない。空間を失うと、時間の感覚も失った。沈むことのない太陽とあいまって、もう今が何時であるのかと問うことは意味を失い、そして時間の進む早さも意味を失った。空間も時間も、相対的に測る基準を失ったのだ。ただ光満ちあふれる空間に僕は浮いているだけだ。
東京が一瞬頭をよぎった。もはや東京もよくわからなくなっていて、あれだけの狭い空間にあれだけの人間が集まっているのは不思議だった。いまいるこことは異なる遠い場所でおきている、世界のある一つの状態に過ぎないと感じた。
地図にも興味を失い、時計にも興味をうしない、速度にも興味をうしない、ただ光の中に浮くだけの時間を過ごした。
テントの入り口のチャックが摩滅し、閉まらなくなってしまった。虫除けのネットしか使えない。ここから先、北極圏をかすめながら漕ぎ続けるのであるから、寒さで寝れなくなるし、そもそもいますでに、毎日降る雨がテント内に進入してしまう。修理はできそうにもないし、テントを買える町はもうない。テントは衣服の次に重要な、生存のための道具だ。これはちょっとアウトかも。
長靴、太陽電池パネル、上下の服の防水機能、液体燃料ストーブのパッキン、そしてテントと、今回もいたる物資が壊れてきているが、製品の耐用「年数」ではなく、製品に使われている素材の耐久「時間」というものを、まだまだ経験不足で把握しきていない、ということになる。
総距離: 1,372キロメートル
2016/07/24
Brown water
Day 52
Although a lot of silt floated in the river water and it was muddy that I was not be able to see through to the underwater of 1 inch below, its shining brown texture under the sun light was so beautiful.
I am using that brown water to boil rice without filtering, but it is still delicious without earth-smelling. Not contaminated with any artificial something, it is harmless if we just boil it. The rice cooked by the water of the Yukon River, it sounds nice.
I have arrived at Circle, a small village of 100 population.
I am very looking forward to paddle into the Arctic Circle soon.
Total distance: 833 mi
52日目
川の水にはシルトが大量に浮遊していて、水面下一センチも見通せないほどに茶色く濁っているが、太陽の光を受けると、滑らかに光る茶色や波立つ茶色のテクスチャーが美しい。
フィルターを通さずに濁ったままの川の水でご飯を炊いているが、土臭くなるかと思ったもののとくに目立った味の変化はなく、美味しく炊けている。川は人間の手による何ものにも汚染されていないので、煮沸してしまえば害になることはない。ユーコン川の水で炊いたご飯。おつである。
サークルという人口100人の村に着いた。明日食料を補給する予定だ。
そろそろ北極圏へ漕ぎ入ることになるが、とても楽しみである。
総距離: 1,333キロメートル
2016/07/22
Rather nice weather
Day 51
Although it was rain when I took down a tent in the morning, it was cloudy sky and an occasional light rain when I was paddling by day. A head wind did not blow today. It was rather nice weather.
Today I paddled also 50 miles.
Total distance: 779 mi
51日目
朝テントをたたんでいる時にはしっかりと雨が降っていたが、日中漕いでいる最中は、曇り空と時折降る小雨だった。今日は向かい風は吹かず。なかなかの良い天気だった。
今日も約80キロメートルを漕いだ。
総距離: 1,246キロメートル
2016/07/21
Breathing of our planet
Day 50
It was sunny day, although it had been rain when I had dismantled a tent in the morning. It was first fine weather in many days.
However, a head wind was very strong, and paddling to move the kayak forward and to control the kayak was so heavy.
Although a day without wind or rain is seldom, I could accept it, because when I was paddling in the vast earth I could feel that a circulation of the atmosphere is a breathing of the our planet.
Total distance: 728 mi
50日目
朝方テントを撤収している時には雨が降っていたが、その後一日気持ちよく空は晴れた。久しぶりにみる青空だった。
しかし向かい風は強烈だった。カヤックを進めるのにもコントロールするのにも、パドルがとても重かった。
風はこれまでのところ、ほぼ向かい風だ。これからも進む方向は北西か西になるので、想定範囲ではあるのだが。
雨か風がない日は、めったにない。しかしこの大きなスケールの大地で漕いでいると、大気の循環は地球の息づかいなのだとなっとくし、大変な苦労をするのではあるが、それでもこころよく受け入れられている。
総距離: 1,165キロメートル
2016/07/20
Calling to immigration office
Day 49
I have gotten a permission to enter the United States.
Since there is not a gate control at the Canada-U.S.A. border along the river, if I will do nothing I will be an illegal immigrant. So, at Eagle, the first village we see along the Yukon River after that border, I called to the immigration office.
I found the direct telephone which was simply put on an outside wall of a laundry. For five minutes or so, an immigration officer asked me some questions, and gave me the permission.
49日目
カナダ・アメリカの国境を川から越えたが、そこにゲートコントロールがあるわけではないので、このままほったらかしにしていれば不法入国になってしまう。国境を越えてから川沿いで最初にあらわれるイーグルという村で、みずから入国手続きを行った。
コインランドリーの屋外の壁に、無造作に直通電話が取り付けてあった。ダイヤルはなく、受話器を取り上げるとそのまま入国審査官に繋がった。空港で受けるような厳しい詰問ではなく、穏やかに必要なことを質問され、答えていく。B2観光ビザを持っていて十分な滞在期間があることや、何処から何処へ向かってどのような予定でカヤックを漕いでいるのかなどを伝えると、五六分で許可をもらうことができた。
Crossing national border by kayak
Day 48
I crossed the national border and have entered into the United States by KAYAK! There is no gate and no fence, just flags of both countries. I enjoyed that new experience without paddling and just being flowed slowly. This border crossing is one of milestones.
During this two days, cloud is hanging low over and it is raining. It drains bodily strength to keep paddling as getting cold rain drops blown by the head wind in the face.
Total distance: 678 mi
48日目
国境をカヤックで越え、アメリカに入国した。ゲートやフェンスなどは何もなく、ただ山の中を川が流れているだけだが、ちょうど川岸の境界線上に両国の旗が立てられていたのと、境界線上の森が幅約十メートルの帯状にきれいに刈り込まれていたので、それが国境線なのだとはっきり分かった。漕がずにただ流されながら、その新たな体験をゆっくりと楽しんだ。空も入国を歓迎するように、その間だけ雨も止み、雲間に青空がのぞいた。
この国境越えは一つのマイルストーンであり、総距離も昨夜にちょうど1,000キロメートルへと達していた。
ここ二日間のあいだ雲は低く垂れ籠めていて、雨が降り続いている。向かい風に吹き流された冷たい雨粒を顔面に受けながら漕ぎ続けると、体力を消耗する。
僕は常に北へ北へと移動し続けていて、さらに緯度の高いこの地方の季節も急速に変化し続けているので、気象メカニズムが今どの様になっていて、そしてどの様に変化しているのか、とても読みづらい。六月のあいだは雨はたまに降る程度だったので、テントの中で止むまで待機していればよかったが、いまは降るのがあたりまえの状況になっているので、天気に関わらず行動している。
総距離: 1,084キロメートル
2016/07/19
Black bear
Day 47
I paddled 50 miles in the continuous rain without any place to rest, eat and wear more clothes. At 11 pm, finally the rain stopped and I pulled the kayak to a pebbly shore to wear clothes.
A black bear was there just 60 feet ahead, when I had finished wearing clothes and lifted my head. He was interested me and got closer and closer to me. I was without wearing a bear spray, even a knife.
I lifted both hand high and moved those left and right to show my body bigger, talked to him and walked backward slowly, keeping to face him. Nevertheless, he continued to approach me.
For two minutes or so, I walked backward and was keeping the distance. And then, the bear came by the kayak. He started to sniff my water proof bag containing my clothes, but soon he lost interest in it and started to approach me again.
I had to show him that I am more strong than him. So, I try to jump while lifting and moving both hand. This time, he was surprised and turned back into the wood.
Total distance: 625 mi
47日目
雨が止むことなく降り続け、土砂降りや強い向かい風にも襲われながら、休んだり、食べ物を取り出したり、冷えた体を温めるために服を着込んだりする場所もないままに、80キロメートルを漕ぎ続けた。午後11時に雨がやっと止んだので、服を着るために、小石のわずかな幅しかない岸へと上陸した。
服を着終え、ふと顔をあげると、黒熊が20メートル先にいた。僕に興味を持ち、近づいてくる。僕はベアスプレーどころか、ナイフ一つ身につけておらず、丸腰だった。
両手を高く持ち上げ、左右に振って、体を大きくして見せた。「こなくていいよ」と、声に出して話しかけ続けた。そして、熊に体を向けながら、ゆっくりと後ずさりした。しかし熊の様子は変わることなく、のしのしと僕に近づいてくる。
こんどは森の熊さんを歌ってみた。森の熊さんとはまるでネタのような話だが、「ある~日~、森の中~」と歌ってみた。しかしこいつも効果がない。
二分ほど、ゆっくりと後ずさりをしながら熊との距離を保ち続けていると、やがて熊はカヤックの真横に到達した。僕の服を入れている防水バックの匂いを嗅いでいる。そのままカヤックに興味を移してもらいたかったが、すぐに飽きて、再び僕に近づいてきた。
お前よりも俺の方が強いのだと示さなければならない。両手を高く上げ、振って、「こなくていいぞ」と大きな声で話しかけながら、さらに軽くジャンプしてみせた。するとこんどは、熊はハッと気付いて驚いた様子を見せる。そして向きをかえ背中を見せると、近づいてきたときよりも早い速度で僕から逃げて、森の中へと消えていった。
総距離: 1,000キロメートル
2016/07/17
Reducing weight and capacity
Day 46
I resupplyed foods, and cut off surplus equipments to reduce weight and capacity.
Tomorrow, I may leave this town. Next one is a crossing a national border by the river. I will leave Canada and enter the United States.
46日目
食料の買い出しをする。また、重量と容量を削減するために、余剰な装備を切り捨てる作業をする。
明日出発してこの町を離れるだろう。次は川からの国境越えだ。カナダを離れてアメリカへ入国する。
Fixing, modifying
Day 45
Going to the post office to receive the solar panel, and fixing and modifying various; I am always fixing and modifying something, haha!
45日目
郵便局に行って太陽電池パネルを受け取り、また、色々な物を直したりモディファイしたり(いつも色々なものを直したり改善したりしているのだ)。
2016/07/16
Value of telling
Day 44
I could get a rain coat instead of the damaged Gor-tex wear in here, a small town for a tourism, Dawson City.
And also, I could get a new solar battery panel instead of a half-dead one, which I asked to transfer from Whitehorse to here. So, I can continue to challenge this adventure!
Since I could get a new solar panel, I summarize this paddling from start to now. I have used around two hours to post a my progress via a satellite daily. I have lost one-third of paddling time, and it means that I have lost one-third of paddling distance. In this pace, it should be difficult to arrive to the Bering Sea before when the winter is going to come to Alaska.
So, I have arranged the order of priority.
I should be the only one who program a original server, and post progresses in real time daily via the satellite to Facebook, blog and Twitter. On the other hand, honestly, I am feeling a stress to use electronic devices although I am in the deep nature and want to feel it.
From the point of view of feeling, I want to be intent on paddling and want to go the Bering Sea straight. However, it is a issue of a balance. Because I am doing the original attempt this time, I think that, even if this paddling is going to be separated into two sections and the second half is going to execute other year, to continue this posting still has a value, and it is more worth than to discontinue this posting and to concentrate paddling.
"The value of telling".
44日目
カナダの最果てにある観光と金鉱の為の小さな町だが、ダメになったゴアテックスのウェアの代わりとなるレインコートを手に入れることができた。
また、ホワイトホースからの転送手続きをしていた、半分死にかけている太陽電池パネルの代わりとなる購入品が、ここドーソンの郵便局に届いていた。
これでまだ冒険に挑戦し続けることができる!
太陽電池パネルが届いたので、ここまでのことを整理してみると、衛星経由で進捗を投稿するのに、なんだかんだで毎日二時間は消費している。漕ぐ時間の三分の一は失っていることになる。すなわち進める距離も三分の一を失っているということで、このペースでは、アラスカに冬が来る前にベーリング海へたどり着くのは難しい。
そこであらためて優先順位を整理してみた。
独自のサーバーを構築し、衛星経由で毎日リアルタイムにFacebookとブログとTwitterに進捗を投稿しているのは、僕だけだろう。一方で、深い自然の中にいて、存分にそれを味わいたいにもかかわらず、毎日電子機器を触っていることにストレスを感じているのも、正直なところである。
気持ちとしては、漕ぐことに専念して、とにかくベーリング海まで一気に行きたい。しかしバランスの問題でもある。たとえ源流から河口までの行程を二つのセクションに分けて、別の年にその後半を行うことになったとしても、今回は独自の試みを行っているのだから、ここでその試みを止めてしまって漕ぐことに専念するより、このまま投稿を続けてみる価値はあるだろうと思っている。
「伝えることの価値」だろう。
2016/07/15
Dawson
Day 43
I have arrived at Dawson City. Here is the final town along the Yukon River, and from here to the ocean there are small first nation villages.
Total distance: 574 mi
43日目
ドーソンに到着。ここがユーコン川沿いで最後の町となり、ここから先の海までは、陸の孤島の先住民が住む小さな村だけとなる。
総距離: 919キロメートル
2016/07/14
Rising of river
Day 42
For the last a week or so, it has been rain. A big tree with freshly green leaves and soil held by its root lay down on shallows in the middle of the river.
As the fate of a solo kayak with a folding kayak, I am leaving the kayak at the edge of the water and am tying the kayak to a shore by rope while camping. So, when I waked up, I saw that my kayak had left the shore and floated in the eddy, since the water level of this great river with around one mile river width had risen.
It might be an effect of global warming.
Total distance: 549 mi
42日目
ここ一週間ほど、連日雨が降っている。まだ青々とした葉が茂り、根は土を抱えたままの大木が、川の中程の浅瀬に横たわっていた。
川幅一キロメートルはあるだろうこの大河が増水しており、夜上陸した時よりも朝出発する時の方が水位が高い。折りたたみカヤックを使った単独行の宿命で、野営のため上陸した際に水面よりも高い位置へカヤックを持ち上げるには大変な時間を必要とするので、しかたなしに水際に置いたままで流されないようロープで岸に繋ぎ止めているだけなのだが、朝起きてみると、水位が上昇したためカヤックが岸を離れて淀みの中に浮いていた。
温暖化の影響を受けていると思われる。
総距離: 878キロメートル
2016/07/12
White River
Day 41
The White River joined the Yukon River. At the border line where two waters mixed, the brown water of the White River boiled up in the deep green water of the Yukon River as a cumulonimbus. Where two big rivers join, we can see the earth activity.
Total distance: 499 mi
41日目
ユーコン川にホワイト川が合流した。二つの水が混じり合う境界線では、ユーコン川の深緑色をした水の中で、ホワイト川の茶色い水が積乱雲のように沸き立っていた。二つの大きな川が合流する場所では、地球の営みを見ることができる。
総距離: 799キロメートル
Hard rain
Day 40
A cumulonimbus covered me. I could not find any shore to escape it. It thundered and hard rain attacked me paddling on the water for long time.
I was soaked and I realized that my Gore-tex ware top and bottom both lost its function. A vinyl raincoat should be better than those. It is not so old and I thought it was still working, but it seems that I have used it hardly. I have to do something.
Total distance: 467 mi
40日目
積乱雲に飲み込まれた。待避してタープかテントを張り雨風を避けるための岸を見つけられず、雷鳴が轟くなか、川の上で漕ぎながら、激しい雨に長時間打たれた。
だいぶ濡れてしまい、ゴアテックスのウェアが上下共に劣化して、防水性を失っていることに気付いた。これではビニール合羽の方がましだ。それほど古い物ではないので、まだ使えるものと思っていたが、どうやら僕が激しく使いすぎているようだ。なんとかしなければならない。
総距離: 747キロメートル
2016/07/11
Pair of mooses
Day 39
I saw a pair of mooses entering into water and eating waterweed beside the place I pitched the tent. They might notice me but did not go away from me as they were around a hundred yard distance from me. They were majestic.
Recent three or four days, cumulonimbus clouds have developed and it has rained often. With an open sky where I could see the coming rain strings under the black clouds, I could escape those under the tent so far. However I have not been able to gain a paddling distance.
Total distance: 433 mi
39日目
今夜テントを張っている場所のすぐ脇にある、本流から外れて水の流れが滞っている所で、ムースのつがいが水につかりながら水草を食べていた。僕を認識しているようだが、百メートルほど離れているのでその場を離れない。双眼鏡でゆっくりと観察できた。雄の角はまだ小さいが、それでも顔の長さほどはあり、雌には角がない。引き締まった巨体を持ち、威風堂々としている。
数日前に、釣ったグレイリングを味噌漬けにしたものを、さらに焚き火の遠火で熱していたが、それを今夜細かく切ってフライパンで煎った。これがかなりいける。ご飯にまぶしてがつがつと食べた。
ここ三四日ほど、積乱雲が発達しており、よく雨が降る。空が開けているので、黒い雲の下で筋となって流れ落ちている雨が、風に流されて迫り来るのを見て取ることができ、うまくテントの中に待避できている。だが、移動距離は稼げていない。
総距離: 693キロメートル
2016/07/10
Increasing river width
Day 38
The quantity of water and the river width increase as I paddle. Since a shore becomes more distant, it becomes difficult to guess the kayak speed.
I think some people already have noticed, but, the link written at the end of this article is the map that shows a my current position and a trace of paddling. A human-figure-icon indicates the my current position. Clicking an icon or a small picture, which indicates a location, the article and the pictures written at that time will pop up.
Total distance: 419 mi
38日目
進めば進むほどに、水量が、川幅が増していく。岸が遠くなるので、どのぐらいの速度がでているのか、見当がつき悪い。
すでに気付いている人もいると思うが、この文章の最後に書き込まれているリンクをたどると、現在地と移動軌跡が地図上に表示される。人型になっているアイコンが現在地だ。位置を示すアイコンまたは写真をクリックすると、そのとき書かれた文章と写真が表示される。
総距離: 671キロメートル
2016/07/09
Porcupine
Day 37
Al and his dog Zen, who both love a nature deeply, paddled the Yukon River for the next town Dowson. We together pitched tents in an island where porcupine inhabits.
Total distance: 397 mi
37日目
さすらい人、アル。愛犬をカヌーに乗せて、次の町ドーソンまで川を下り、仕事を探すと言う。人間社会よりも自然を愛する、そんな男だ。その彼が僕のことを気に入ってくれているようだ。魚の居場所を探しながら二人で入り組んだ水路を巡り、太陽が北西へとだいぶ傾いたので、まるで川の流れと時の流れに乗っているかのように、自然と島へ共に上陸してテントを張った。
川を望む森の中で焚き火にあたっていると、ヤマアラシが一匹、ごそごそと目の前に現れた。アルが、「あれを捕りたいか」と聞いてくるので、「美味いのか」と聞き返すと、彼はウインクをしながら立ち上がり、たちどころに捕獲した。
彼の方法は異なっていたが、先住民の伝統的なヤマアラシの調理方法は、まずトゲを抜き、そして内臓を取り除き、焚き火で毛を焼いて取り除き、煮てスープにする。
臭みなどはとくにない、脂肪が比較的に多い、うまくて柔らかい肉だった。
一晩の食事を与えてくれた母なる自然と、捕らえ調理したアルに感謝する。
総距離: 635キロメートル
2016/07/07
Northern pike
Day 36
Cumulonimbus covered the sky continuously since yesterday, and cold rain and wind prevented to kayak. However, in exchange for it, Al from Canada taught me the place where I could fish a northern pike and the knack, while we were fishing together on a canoe in there. No-rushing and waiting gave me the chance to acquire the good wisdom.
36日目
昨日から立ち上がっていた入道雲は今日の午前中も引き続き空を覆っていて、冷たい雨と風が漕ぎ出すことを阻んだが、引き替えにカナダ人のアルから、ノーザンパイクの釣れる場所とコツを、一緒にその場所でカヌーの上から釣りながら教えて貰うことができた。焦らずに待つことで、引き替えにいい知恵を身につけることができた。
2016/07/06
Enjoying the moments
Day 35
At 8 am, I threw a lure in the same place where I had caught a grayling last night, and fished it again. This time, I tried drying it in the sun to preserve.
A grayling soaked into miso I made last night was quite delicious.
A chunk of beef I pickled with salt, I washed it with water to remove salt, and then, grilled it lightly and smoked it by a bonfire to preserve.
I think that a key to success of this adventure is not to paddle strenuously with the objective as the Bering Sea, but to concentrate and enjoy the moments that I am feeling now. This view also comes from the previous experience of paddling in the west coast of USA.
Furthermore, I think that it is the same for everything that happen in our life.
35日目
午前8時頃、昨夜グレイリングを釣った場所にもう一度ルアーを走らせてみると、また食いついてきた。
今度はハサミで二枚におろして、天日で乾燥させての保存食作りを試みる。また串刺しにして焚き火で焼き、朝食とした。
昨日作ったグレイリングの味噌漬けは、かなりいける。
塩漬けにしていた牛肉のブロックを、水で洗って塩分をおとし、切り分けてから金串を通して焚き火の脇に刺し、熱で炙り、煙で燻して、保存食を作った。
この遠征を成功させる秘訣は、ベーリング海を目標としてがむしゃらに漕ぐことではなく、その瞬間瞬間に集中して楽しむことにあるのだろう。アメリカ西海岸で漕いだ前回の経験も踏まえての考えだ。
人生におけるすべてのことに対しても、とどのつまり、同じなのだと思う。
日中から雷鳴が轟き、雨が降った。カヤックを漕ぎ始めてから、これで二回目だ。
Soaking grayling into miso
Day 34
When I pulled the kayak up on a shore to pitch the tent, I saw a creek flowing into the Yukon River. Attaching a spinner to a fishing rod and throwing it into a backwater, I caught an around 15 inch grayling.
I cut it by a scissors and then tried soaking it into miso to preserve.
I paddled though the rapid stream called Five Finger Rapid. It was easy way.
Total distance: 336 mi
34日目
午後8時、テントを張るために上陸してみると、小川がユーコン川本流へと流れ込んでいた。スピナーという回転しながらきらきらと光るルアーを釣り竿に取り付けて、合流部分の淀みに投げ込んでみると、40センチメートルほどはある立派なグレイリングが釣れた。
調理用ハサミで手荒く二枚におろし背骨を切り取って、ユーコン川を漕ぎ出す前にカナダで手に入れていた信州味噌と、ジップロックの中で混ぜ、味噌漬けによる保存を試みる。
ファイブフィンガーラピッドという名の急流を通過したが、簡単な瀬であっさりと通過した。
総距離: 570キロメートル
2016/07/04
Meat block
Day 33
Gotton a meat block, I pickled it with salt to preserve for a week.
33日目
肉の固まりを手に入れたので、一週間持たせるため塩漬けにしてみた。