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ベカンベウシ川は厚岸湖に流れ込んでいる。牡蛎の養殖で有名な汽水湖だ。その厚岸湖を漕ぎ渡って厚岸町の市街地に上陸しようとしたが、真っ向から吹く強風にあおられて、力一杯漕いでもカヌーが一メートルも進まない。水中にパドルの水掻きを差し込むと反対側の水掻きは宙に浮くが、そいつが風を受けて風圧で体ごと持っていかれ、バランスを取らないとひっくり返りそうになる。白鳥は飛び立って移動することができずにいた。
この風は僕が一昨日に初雪と強風をくらった低気圧の振り戻しだ。最大風速は15メートル毎秒を観測しているらしい。この風速はここら辺りでは普通かと学芸員の渋谷さんに訪ねたら、やはり異常な気象だとのこと。気温にしても、二日前にはマイナス五度の中で寝ていたのに、昨夜は十度を超えて暖かかった。
風が止むのを待っていると食料が尽きてしまう。すでにベカンベウシ川の河口に来ていて川下りとしては終了しているので、今回もここで終えることにした。
風が止むのを待っていると食料が尽きてしまう。すでにベカンベウシ川の河口に来ていて川下りとしては終了しているので、今回もここで終えることにした。
最後はこの言葉で締めくくりたいと思う。どこかで吠え続けている仲間のために。
アシがなびく
僕の遠吠えは湿原の強い風に霧散する
それでも僕は吠え続けるのだ
僕の遠吠えは湿原の強い風に霧散する
それでも僕は吠え続けるのだ
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