2012/04/12

ザ・ケネウィックマン・エクスペディション、11日目



テントの前を流れるコロンビア川の向こうはパスコ市だ。そのパスコ市のマット市長が、光栄なことに今朝テントを訪問してくれた。ケネウィック市長のスティーブから僕の話を聞いて、会いたくなったのだと言う。同年代で一歳だけ年上だ。日本人の僕から見れば大男で、がっしりした体は百キロ近くありそうだった。

ケネウィックマンの骨が発見されたまさにそのポイントへ、案内してくれるという。マットと二人、川岸に生い茂った深い藪の中へと分け入った。マットは、場所の検討はついているものの、まだ正確なポイントへは行ったことがなかった。背丈十メートル程の低木が密生し、まるでジャングルジムのように幹や枝が複雑に絡み合っていた。その幹や枝の下を、這いつくばるようにくぐり、またその幹や枝の上を、木登りのように乗り越え、ゆっくりと進む。マットの白いパンツや革靴は、あっというまに泥だらけになった。それは子供時代の探検ごっこを思い出させて、僕の心はうきうきと弾み、マットの目も少年のような光を帯びてきた。まるで小学校の友達と雑木林で遊んでいるようだった。

三十分ほど藪と格闘した末、発掘のために木を伐採した痕跡からはっきりここだと断定できる、ケネウィックマンが発見された正確な場所を見つけ出すことができた。

マットも僕と同じバイク乗りだ。朝食を食べながらそんな話もした。すっかり同じようなことに興味を持つ同年代の友達になってしまった。地球が僕らの遊び場、か。