午後三時頃、柳の影が移動してテントに日射しが当たり始め、暑くて寝ていられずに外へ出た時に、ピックアップトラックでやってきたビルが、「君はテレビに出ていたカヤックの男か」と嬉しそうに話しかけてきた。僕がケネウィック市長と話しているのを見たのだという。家に来て夕食とシャワーを取らないかと積極的に誘ってくれて、川に隣接した彼の農場に行った。広さは東京二十三区の半分以上あり、長さ数百メートルの散水管が円を描きながらコロンビア川の水を乾燥した大地に撒く、広大な円形農場だった。
ベーコンとマッシュルームとチリトーストに冷えたビールが、消耗しきった体にとてもうまかった。さらに、食事やシャワーだけでなく、何かあれば手助けをしたいという嬉しい言葉も貰えた。
多くの人々の応援が、僕に力を与えてくれている。