2010/10/10

ご飯を炊くエネルギー その3 ウラン

さらに話を膨らませてみよう。実験と計算から、15グラムの灯油では1合のご飯が炊けるが、同じく15グラムのリチウムイオン充電池では小さじ1杯のご飯しか炊けないことがわかった。原子力エネルギーではいかほどか。

原子力発電所や原子力潜水艦、原子力空母、原子爆弾、宇宙探査機などで使われている原子力エネルギーは、土の中から掘り出したウランやプルトニウムという物質を燃料にしている。そのウランが出すエネルギーは1グラムで1千960万キロカロリー(19,600,000キロカロリー)である。これまたピンとこない数字だなぁ。

では前回同様に15グラムのウランで炊けるご飯の量を計算してみよう。話は単純である。ご飯を1合炊くのに必要なエネルギーは、玄関先の実験から160キロカロリーであることがわかった。したがって
を計算してみればよい。なんと183万合のご飯が炊けて、1人の人間が朝昼晩と1合づつ計3合のご飯を1日に食べ人生80年生きるとすると、人生21回分のご飯となる!驚愕である。


人類絶滅の危機を招くにもかかわらず核ミサイルや原子力空母や原子力潜水艦などの原子力エネルギーを利用した軍事兵器を止めることができないのも、チェルノブイリなどの凄惨な事故の影が常に付きまとうにも関わらず原子力発電所の利用や開発を続けているのも、このようにほんの僅かな量のウラン燃料からとてつもなく莫大なエネルギーが取り出せるからである。

原子力は人類史上いや地球史上前代未聞の破壊能力を持つエネルギーであるが、視野を広げて宇宙に目を向ければごくごく普通の自然現象である。まさに太陽は原子力エネルギーで真っ赤に燃えたぎっている。人間が哲学的に宇宙の真理にまで頭を巡らせる能力を持ってしまった以上、原子力エネルギーの発見は遅かれ早かれ到来したのである。英知をさらに発達させて倫理的・技術的に完全なコントロールの術を学習し、完全に平和で安全な利用を成し遂げられる日が来ることを願いたい。

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