2021/12/29

管啓次郎の詩集

 図鑑/海の生物を眺めていると、ポストにコトンと管啓次郎の詩集。海の世界を閉じて次は言葉の世界へ、ダイブ。あ、同じ場所だ。ナラビクラゲ属の群体が泳いでいる。詩が泳いでいる。



2021/12/26

Roasted coffee beans just now

 Roasted just now. Since aromas and tastes are going to be drawn out from beans and flat within few weeks with no choice, it’s the reason ones sold at major supermarket are not delicious, we only sell coffee beans with great care about freshness. umiack.com



2021/12/19

映像の世紀

つぶやき、である。

先日投稿した谷川岳の動画 https://youtu.be/cZAvRzVoRz4 であるが、一緒に登った多田と話したのだが、実際よりも何か凄い山のように見える。特に映像の選択や加工などはしておらず、撮ったままを繋げて音楽を入れただけなのではあるが。知っている人は知っているのだが、谷川岳は冬季登山の入門とされている山であって、山の中腹まではロープウェイで登って楽することができる。多くの死者を出しながらもロッククライマーを虜にしたあの有名な垂直に切り立つ岩壁は、通らずに登頂できる。それでも気象条件は厳しく冬山を何も知らずに入ったら滑落や凍死もあり得るが、南北アルプスと比べればやはり入門なのである。映像のマジック、とう言葉が浮かぶ。

うちのアドベンチャー珈琲用に撮影したのだが、エキストリーム・コーヒーと言えるとするならば、この谷川岳よりも遥かに、昔撮影した別寒辺牛湿原 https://youtu.be/l5iQ7nH2728 やユーコン川 https://youtu.be/RFSkB3Xbzik の方が、10倍も100倍も困難でありリスクが高くふさわしい。だが現実と映像とは少しズレるのである。レンズで「切り取った」絵に迫力があったり圧倒されたりするような、すなわち「映像栄え」する景色というのは、体験する世界とは少しズレてくるのである。ましてや臨場感溢れるように撮ろうとすればそれなりの数や重量の撮影機材が必要であり、また熟知したスタッフを必要とするので、本当に困難な場所で困難なことをしている時には、そのような撮影をしている余裕もなければ、良いアングルにカメラを設置して、はいアクション!なんてカチンコを鳴らすことがそもそも出来ない。

しかし撮影をしたことのない一般の人々はカメラアングルや色調整や音楽の効果というものを知らないので、言い方が悪いかもしれないが簡単に言えば、ダマしている、という気持ちになってしまう。少なくとも初めのうちは。素晴らしい映像を撮る、感動する映像を撮る、ウケる映像をとる、すなわちそれって俺はエンターテイナーになろうとしているの?という矛盾が生まれてくるのである。考えされられる話になってくるのである。じゃあ映像なんて触れるべきではないのか、少なくとも本質を求めたければ。そういう話になってしまうのだろうか。

う〜ん、と考えれば、そうとも言えないのではと思えるところもある。物事を広く捉えれば良いのではないか。人間を動物という広い枠で、数百年という広い時間で。ほとんど猿と変わらない遺伝子を持つ人間が人間らしい進化を遂げたのは、変化し取捨選択されながら子孫へと引き継がれる新たな形態の遺伝子として、物語という人から人へ語り継がれる文化を獲得できたことが大きいのだと思う。その昔、その物語もやはり語り手の表現能力が高ければ高いほどより多くの聞き手を魅了し、次の世代へと語り継がれ、生き残ったはずである。そしてまた必ずしも現実に沿ったものとは限らない物語として、最初の語り手を離れて生き物のように変化成長し続けてきたはずである。それが人類の進化の方向を決定づけてきた。その物語と現代の映像とは、どれほど異なるものなのだろうか。昔を振り返れてみれば、物語というのは人間に運命づけられた人間の欠かせない本質の一部であるように見えるのと同様に、やはり未来の時点から今を振り返れば、映像も似たようなものなのではなかろうか。まあ簡単に言えば、俺がごちゃごちゃ考えようと考えまいと、誰が考えようと考えまいと、映像の世紀というのは人間という生命体の避けられない流れなのだ、流されなさい、ということなのだろうか。

そしてまた、見る人が見れば分かるはずである。同じ人間なのだ。

ということで納得しておこう。 

2021/12/17

谷川岳

谷川岳でウミアック・アドベンチャーを淹れてきました。

Life is adventure. 最高の一杯をそれぞれの人生の冒険で楽しんでください。

ベストな香味を味わうために、ぜひ飲む直前に珈琲豆を挽いてください。動画の中に出ているような手動のミルであれば、どこでも持ち運べます。また湯を沸かしているのはMSRのウィンドバーナーで、強風下でも沸騰します。

2021/12/12

栃木県足尾銅山を見下ろす中倉山

 三人の山岳ガイド、日光国立公園などを中心に活躍している Early Bird Adventure 代表の小村あづささん、知床国立公園などを中心に活躍している 知床倶楽部ガイド 代表の石田理一郎さん、富士箱根伊豆国立公園などを中心に活躍している 尾島 宏美 さんと、栃木県足尾銅山を見下ろす中倉山で、道なき道のバリエーションルートを遊んできた。この一帯はその昔まだ銅が採掘されていた頃に亜硫酸ガスを含む煙害で森が枯れ禿山となり未だ自然再生途上であるために、尾根登りのスタート地点である川脇の藪から山頂までの全行程で絶えることなく絶景が続くという、他では見られないここだけの壮大な景観が続いている。ガレ場をひたすら登っていくが、もう三人共にガイドなので自分の身は自分で面倒見というルート取りも気楽に各自勝手にガツガツ登って各自存分楽しむがでも喜びは共有という、まあ贅沢な遊びをさせてもらったのであった。一般ルートもあるのでこの景色を楽しみたければEarly Bird Adventureへご連絡を。









2021/12/08

珈琲豆

 ギフトとして発送した豆を飲んでるけど、うん、うまい😏香り、甘味、コク、酸味、どれも深い。10分は余韻が残る。

やはり珈琲も生き物、植物なのだなぁ。なんでこうも豆によって「まったく」異なるのか、面白い。

https://www.umiackcoffee.com/adventure




2021/11/12

タンザニア・ンゴロンゴロ

ウミアック珈琲に新しい豆を追加しました。スペシャリティ珈琲シングルのタンザニア・ンゴロンゴロです。

ンゴロンゴロとはなんとも面白い名前ですが、世界遺産に登録されているタンザニアのンゴロンゴロ自然保護区に因んだ名前で、その周囲の農場で生産された珈琲豆です。ンゴロンゴロとはマサイ語で「大きな穴を」意味するそうで、保護区内にあるンゴロンゴクレーターという300万年前の火山の噴火でできた巨大な穴、すなわちカルデラを指しています。

その香味は、非常にありふれた表現になりますが「ショコラの甘みとコク」、すなわちそのありふれた表現の名にまさに相応しい逸品になります。とても深い甘味とコクに伴う満足感は、珈琲好きの女性はもちろん、珈琲好きの男性も、珈琲は砂糖とミルクを入れないと飲めない方まで、なるほど、と思われるはず。お勧めです。

5段階で表現すれば、甘味: 5、コク: 5、香り: 5、酸味: 5、苦味:5。

砂糖とミルクを使わずブラックでとても美味しく飲めるので、人工的な糖質や脂質がフリーなのにとても満足できる、健康的な飲み物でもありますね。

この珈琲に限らず質の良いスペシャリティ珈琲全般に言えることですが、質が均一で雑味が少ないので、多めの粉から漕い珈琲を淹れて飲むとよりその美味しさが引き立つので勧めします。

ご購入はこちらから。






2021/11/08

鯖の缶詰、柚味

 福井県小浜市と言えば、鯖である。その昔小浜湾で取れた鯖を、一昼夜かけ京都へ山道を越え運んだという歴史があるのだ。
 その鯖の缶詰をいただいたのだが、これは柚味。初めて食べた。美味い。ゆずの爽やかな香りと酸味が鯖に合うとは、その発想はなかったので驚きである。



 ちなみにその小浜と京都を繋ぎ「京は遠うても十八里」と歌われた山道は、鯖街道と呼ばれていて、社会がクルマ化されてから誰も通らないために一部が廃道のようになっていたところを、有志によって復旧され、今トレッキング道として復活しているんだとか。いくつかルートがあったうちの、針畑越え、という道である。鯖を運んだ昔の背負子は一昼夜で通り抜けたそうだが、今の人だったら普通は二泊三日はかかるだろう距離である。一度挑戦してみたいものだ。

 

2021/11/04

In the Deep Forest of Alaska / CREATE / Yukon River from source to Grayling Alaska

 


 

CREATE

Float a kayak on the Yukon River and paddle deep into the Alaskan wilderness alone / Sharpened sensations and cognition beyond perception / What is human creativity?

Alaska is one of the few farthest places where still exist the wilderness and is about to be erased from Earth. The only way to travel through that pristine land is the Yukon River, where you have to paddle kayak for months. What you will experience there is a world of a different dimension that is far from urban life. It is a world where the senses of sharp animals sleeping in the depths of human beings awake, and it is a world where the concept of time and space, relative senses, and relative consciousness are questioned. It is pondering about creation as a job required to humankind.


▶︎Chapter list

Opening movie

【Chapter 1: Yukon River in the Wilderness】

1-1) Introduction

1-2) Location of the Yukon River

1-3) Comparing the areas of Alaska and Japan

1-4) Trajectory moved by kayaking

1-5) Compare Alaskan wilderness with Japanese natural forests

1-6) Lake Bennett / Headwaters of the Yukon River

1-7) Yukon Flat / Midstream of the Yukon River

1-6) Flight view of the Yukon River

1-8) The world is surrounded only by the horizon

1-9) The river is flowing through the river

【Chapter 2: Inputs and Outputs】

2-1) Experience creates creativity

2-2) Animal brain and human brain

【Chapter 3: A world unknown to you and your body】

3-1) Your body and your brain are still alive in the wilderness

3-2) A delicate sensation that revives

3-3) Experience in the wilderness

3-4) A delicate sensation that everyone has

3-5) Think and experience within the framework of science

【Chapter 4: Cognition beyond perception】

4-1) Far enlarged brain tissue / prefrontal cortex

4-2) A world without a day

4-3) A world with only the horizon

4-4) A world where the concept of space-time is lost

4-5) Relative sensations, relative consciousness

4-6) Discover the wonders hidden in the world of common sense

4-7) Creation, the work that humanity is requested to do

End roll


▶︎English subtitles

00:02:23,685 --> 00:02:30,380

As the first chapter, the story continues under the theme of "wilderness of the Yukon River".

00:02:30,380 --> 00:02:38,214

From British Columbia, Canada, across the border to Alaska, there is a river that runs through the vast wilderness.

00:02:38,214 --> 00:02:40,693

The Yukon River.

00:02:40,693 --> 00:02:49,574

I kayaked alone 2,700 kilometers on it from the headwaters of the river to Grayling near the mouth of the river.

00:02:49,574 --> 00:02:57,985

This story progresses around the experience in such a wilderness.

00:02:59,445 --> 00:03:02,812

I will explain the position of the Yukon River.

00:03:02,812 --> 00:03:05,247

This is Japan.

00:03:11,962 --> 00:03:19,616

Across the Pacific Ocean, it is located on the West Coast of North America.

00:03:20,971 --> 00:03:25,936

The source of the Yukon River is in British Columbia, Canada.  And it flows into the Yukon Territory, Canada, crosses the border into Alaska, United States.

00:03:39,081 --> 00:03:43,864

Let's compare the area of ​​Alaska and Japan.

00:03:44,190 --> 00:03:49,990

If you put Japan on Alaska, it will be like this.

00:03:50,889 --> 00:03:54,924

You can see that the area of ​​Alaska is larger.

00:03:55,255 --> 00:04:00,187

The area of ​​Alaska is four times the area of ​​Japan.

00:04:03,169 --> 00:04:08,251

This red line is the actual trajectory I moved by kayaking.

00:04:08,252 --> 00:04:12,299

I rowed 2,700 kilometers over three months.

00:04:12,493 --> 00:04:21,016

If you stretch the trajectory in Japan to see the sense of distance, you will reach Miyako Island from Cape Soya.

00:04:24,869 --> 00:04:29,592

What is the wilderness mentioned here?

00:04:29,592 --> 00:04:38,953

Let's compare Japan and Alaska from the sky at the same altitude and speed to see what the wilderness of Alaska looks like.

00:04:40,266 --> 00:04:42,625

First of all, it’s over Japan.

00:04:42,626 --> 00:04:45,284

Altitude 77,000 meters.

00:04:45,285 --> 00:04:49,469

It’s about eight times the height that a passenger plane flies.

00:04:50,177 --> 00:04:51,997

Now pass over Kyushu.

00:04:51,998 --> 00:04:54,776

You can see Fukuoka in the lower left.

00:04:56,004 --> 00:04:59,710

Pay attention to the area occupied by cities and fields.

00:04:59,842 --> 00:05:06,346

Natural forests such as cedar and cypress that are not plantations are covered with pink.

00:05:06,346 --> 00:05:11,080

You can see that it is divided into small pieces.

00:05:11,081 --> 00:05:15,380

You can see Osaka ahead.

00:05:16,519 --> 00:05:18,705

And you see Nagoya ahead.

00:05:18,706 --> 00:05:23,098

Shizuoka prefecture can be seen on the right side.

00:05:29,279 --> 00:05:31,559

And you see Tokyo ahead.

00:05:31,560 --> 00:05:34,710

The vast Kanto plain has come into view.

00:05:34,711 --> 00:05:40,035

Most of them are filled with cities and fields.

00:05:45,480 --> 00:05:47,542

Enter Tohoku.

00:05:47,543 --> 00:05:53,054

Pass over Aizu and Sendai.

00:05:57,283 --> 00:06:00,712

Pass over Morioka now.

00:06:04,174 --> 00:06:09,063

Cross Aomori and cross the Tsugaru Strait.

00:06:13,341 --> 00:06:17,267

And landed in Hokkaido.

00:06:17,268 --> 00:06:19,268

Now pass over Sapporo.

00:06:19,269 --> 00:06:27,452

Please note that even in Hokkaido, the area of ​​cities and fields occupies a large part.

00:06:30,682 --> 00:06:37,559

Let's pass over Alaska at the same altitude and speed.

00:06:37,560 --> 00:06:42,000

Enter from the Bering Sea side.

00:06:42,001 --> 00:06:50,557

Natural forests are not color coded, but over 99% of this vast area is wilderness.

00:06:50,558 --> 00:06:54,329

Now I can see the Yukon River.

00:06:54,330 --> 00:07:00,866

You can see that it meanders greatly in the vast marsh.

00:07:02,295 --> 00:07:04,885

I can't find any cities or fields.

00:07:04,886 --> 00:07:11,142

Also I can't find any roads, railroads, or forest roads like Japan.

00:07:12,001 --> 00:07:15,741

I finally saw a small town in front of me on my right.

00:07:15,742 --> 00:07:19,979

It's Fairbanks with a population of 60,000.

00:07:40,514 --> 00:07:49,102

Let's compare the area occupied by untouched nature without human intervention in Japan and Alaska.

00:07:49,103 --> 00:07:54,427

The total area of ​​Alaska is about 1.5 million square kilometers.

00:07:54,428 --> 00:08:00,871

The total area of ​​Japan is about 380 thousand square kilometers.

00:08:00,872 --> 00:08:08,402

The size is adjusted so that the area on the map and the area on the graph are the same.

00:08:08,403 --> 00:08:13,355

Area of ​​towns and fields occupying Alaska is less than 1%.

00:08:13,356 --> 00:08:18,836

Some materials say it is less than 0.1%.

00:08:18,837 --> 00:08:24,379

The remaining 99% is untouched wilderness.

00:08:24,380 --> 00:08:35,763

Since there are extremely few roads and railroads, it is one large undivided wilderness where animals and plants can move freely.

00:08:35,764 --> 00:08:37,764

How about japan?

00:08:37,793 --> 00:08:42,516

Towns and fields occupy for 34%.

00:08:42,516 --> 00:08:46,007

The remaining 66% is forest.

00:08:46,008 --> 00:08:53,072

How did you think, it was abundant or scarce?

00:08:55,988 --> 00:09:03,766

46% of the forest is artificial forest such as cedar and cypress for timber production.

00:09:03,767 --> 00:09:10,396

The remaining 54% are natural forests, including second-growth forests.

00:09:13,234 --> 00:09:24,951

Then, that natural forest is divided as you can see in the previous video, and the movement of animals and plants is hindered by towns and roads.

00:09:24,952 --> 00:09:31,706

Where is the largest undivided mass of natural forest?

00:09:31,707 --> 00:09:36,659

Probably it's Daisetsuzan National Park in Hokkaido.

00:09:36,659 --> 00:09:42,512

Its area is 1.6% of natural forest.

00:09:55,757 --> 00:10:03,132

Uninvolved and undivided land is essential for biodiversity.

00:10:03,133 --> 00:10:12,403

If you compare the area as the size of a circle between Japan and Alaska, you can see the difference in scale.

00:10:15,706 --> 00:10:21,123

The source of the Yukon River is a lake filled with glacier water.

00:10:21,154 --> 00:10:25,018

My journey started from there.

00:10:25,019 --> 00:10:32,518

Like prayer beads, many lakes are connected by narrow waterways.

00:10:32,519 --> 00:10:43,188

Because the lakes are so large, it took more than two weeks to finally reach a "water flowing" river through the four lakes.

00:10:43,188 --> 00:10:49,476

Let's take a look at the location of Lake Bennett, the starting point of it.

00:10:49,477 --> 00:10:52,192

First of all, over Japan.

00:10:54,001 --> 00:10:58,331

And cross the Pacific to Canada.

00:11:07,876 --> 00:11:11,398

And head to Lake Bennett.

00:11:13,975 --> 00:11:20,263

The green tent marks are where I camped.

00:11:20,264 --> 00:11:27,049

The red line is the trajectory which I actually paddled.

00:11:45,375 --> 00:11:52,875

The distant mountains are covered with white glaciers.

00:11:52,876 --> 00:11:58,977

You can see that the glaciers are melting to form a lake.

00:12:02,518 --> 00:12:08,992

The size of this Lake Bennett is difficult to grasp, so let's compare it with the Kanto Plain, Japan.

00:12:08,993 --> 00:12:16,865

You can see how big the lake is by stacking the Kanto plains on it.

00:12:20,220 --> 00:12:26,197

Let's see the actual place in the video I shot.

00:13:30,797 --> 00:13:33,325

It's nice morning.

00:13:33,326 --> 00:13:38,029

June 2, 6:00 am.

00:13:47,190 --> 00:13:51,055

Can you hear this sound?

00:15:13,469 --> 00:15:20,130

There is an area called Yukon Flat in the middle reaches of the Yukon River.

00:15:20,131 --> 00:15:24,989

As the name suggests, it is a flat place.

00:15:24,990 --> 00:15:31,433

A plain formed by the accumulation of soil carried by the river in a depression surrounded by mountains.

00:15:31,434 --> 00:15:35,702

In Japan, it's like the Kofu basin in Yamanashi prefecture.

00:15:35,703 --> 00:15:39,350

That place is here.

00:15:56,065 --> 00:16:02,632

Expressing the strength of the slope with color, you can see a flat place with no slope at all.

00:16:02,633 --> 00:16:06,746

That is Yukon Flat.

00:16:08,632 --> 00:16:16,287

It can be said that it is a basin similar to the Kofu basin, but its scale is very different.

00:16:16,288 --> 00:16:20,463

The area is 100 times larger than the Kofu basin.

00:16:20,464 --> 00:16:24,825

The surrounding mountains are hidden behind the horizon and cannot be seen.

00:16:24,826 --> 00:16:29,343

It takes two weeks to traverse with a kayak.

00:16:29,344 --> 00:16:33,395

Let's compare.

00:16:34,233 --> 00:16:38,159

I will overlay the Kofu basin on the Yukon Flat.

00:16:38,160 --> 00:16:45,659

Then, not only the Kofu basin, Yukon Flat covers the area from the Kanto plain to Nagoya.

00:16:46,551 --> 00:16:56,381

Yukon Flat extends about 290 km from east to west and about 190 km from north to south.

00:16:58,175 --> 00:17:06,171

Fly over the Yukon River which creates Yukon Flat and runs through its center.

00:17:27,482 --> 00:17:34,235

The green tent marks are where I camped.

00:17:34,236 --> 00:17:45,681

In the vast plains of the Yukon Flat, you can see that the Yukon River creates a complex stream like a net.

00:17:45,681 --> 00:17:51,689

The width of the river is as wide as 2 kilometers.

00:17:51,690 --> 00:18:01,892

It is difficult to understand the scale, so let's compare it with the Kanto Plain, Japan at the same altitude and the same angle.

00:18:36,818 --> 00:18:55,329

Since it was difficult to determine where the main stream is from the viewpoint of kayak on the water because of complicated flow, it was tough work preventing to get lost and strand in a tributary with a shallow flow.

00:19:07,341 --> 00:19:15,928

You can see that the scale of the Yukon River is incomparably larger than that of the Japanese rivers.

00:19:15,929 --> 00:19:21,751

Compare its size with the Arakawa River.

00:19:27,709 --> 00:19:38,626

Can you see countless oxbow lakes in the marshes on both sides of the river as remains after the river flowed in the past?

00:19:38,627 --> 00:19:45,256

This is the true nature of the river that flows in natural form.

00:19:48,959 --> 00:19:54,128

Forever flat ground, Yukon Flat, continues.

00:21:24,997 --> 00:21:33,024

Let's see the video which I actually shot as paddling.

00:21:33,025 --> 00:21:36,268

It's the leg of July 23.

00:21:39,349 --> 00:21:43,679

This red track is the route I actually paddled.

00:21:43,680 --> 00:21:47,731

It is the entrance of Yukon Flat.

00:21:49,382 --> 00:22:00,889

In this video, the kayak is intentionally circled by paddling only on the right side in order to shoot 360 degrees around.

00:22:06,733 --> 00:22:15,350

No undulations such as mountains and hills can be seen, and the world is surrounded only by the horizon.

00:22:44,095 --> 00:22:48,518

July 25, two days later.

00:23:12,292 --> 00:23:20,600

It's been 3 days since I entered Yukon Flat, but I haven't found any undulations such as mountains and hills yet.

00:23:20,601 --> 00:23:27,137

There are no private houses, roads or fields, and only the plain wilderness spreads out.

00:23:27,138 --> 00:23:34,047

This world with only horizon will continue as long as for two weeks.

00:24:15,523 --> 00:24:22,090

Fine silt is floating in the water of the river, and you can't see even 1 cm below.

00:24:22,091 --> 00:24:35,110

As an ocean current meanders in the wide sea like a river, the river as the main stream meanders in the vast river.

00:24:35,111 --> 00:24:43,107

But since it's not something you can see, you have to trust your intuition coming from experience.

00:24:43,108 --> 00:24:56,417

If you miss the main stream and get lost in a shallow tributary, you will not be able to escape from it, and the kayak will be stranded and crushed by the water pressure.

00:25:09,752 --> 00:25:19,706

Carefully and slowly pass by the fallen tree that has climbed into the shallow water, looking closely at the surrounding area.

00:25:35,810 --> 00:25:44,179

As the second chapter, we will proceed with the theme of "input and output".

00:25:44,184 --> 00:25:52,274

There is input, and then it generates the output, that's what a machine is.

00:25:52,275 --> 00:25:58,842

The operation as an output is determined according to the input from the sensor.

00:25:58,843 --> 00:26:02,707

The same is true for simple insects, etc.

00:26:02,707 --> 00:26:14,479

In response to the input that an antenna discovers the smell of food to the right, the output of taking a course to the right is produced.

00:26:14,480 --> 00:26:20,426

The basics are the same even for far more complex humans.

00:26:20,427 --> 00:26:37,743

The input as the experience received from parents, friends, society, and schools gives rise to the individuality of the person, the outputs of what kind of thoughts and activities to take will be produced by it as a result.

00:26:37,744 --> 00:26:58,416

From that perspective, if you want to be creative, if you want to produce rich output, what kind of input you give yourself, that is, what kind of experience you give yourself, is very important that you notice.

00:26:58,417 --> 00:27:17,054

You might think, "That is nothing special," but if you want to dig deeper into that area, find out what scientists are currently thinking about free will.

00:27:17,055 --> 00:27:33,097

If you want to produce rich output, you need to step outside the familiar environment you are in, and see, hear, feel and think about a new world you never imagined.

00:27:36,452 --> 00:27:51,916

But isn't it possible to produce rich creativity and rich output only in the mind without experiencing the outside world, that is, without the need for input?

00:27:51,917 --> 00:28:00,379

If you have the talent you were born with, you probably don't need experience or learning?

00:28:00,399 --> 00:28:04,139

I don't think so.

00:28:04,140 --> 00:28:35,267

For example, even if you are born with talents that surpass ordinary people in specific calculations, sketches, spatial grasps, etc., I think that, those are certainly wonderful but those are as part of outstanding basic abilities inherited from your ancestors as animals, and higher creativity is that the human-specific brain learns beyond those.

00:28:35,268 --> 00:28:39,008

Mankind is changing.

00:28:39,009 --> 00:28:53,778

In terms of environmental destruction, the change seems to be degenerate so far, but in terms of rapidly deepening our understanding of the world and oneself, it can be said to be evolution.

00:28:53,779 --> 00:29:06,995

Brain science, which allows us to understand what we are, has developed rapidly in recent years, and is now deeply affecting not only medical treatment but also society.

00:29:06,995 --> 00:29:15,426

Therefore, let's take a look at the discussion of the importance of input, focusing on brain science.

00:29:15,427 --> 00:29:21,870

The brain of Homo sapiens can be roughly divided into two.

00:29:21,871 --> 00:29:32,136

One of those is the part that inherited from ancestral animals and produces most of our actions and emotions and forms the basis of life.

00:29:32,136 --> 00:29:37,137

It is a common part with reptiles and other mammals.

00:29:37,138 --> 00:29:47,180

And the part that produces self-awareness, self-control, logical thinking, and etc., that only humans have greatly enlarged.

00:29:47,180 --> 00:29:52,342

It is the prefrontal cortex behind the forehead.

00:29:52,343 --> 00:30:00,000

Both of them are you, and you cannot focus on one or the other.

00:30:00,001 --> 00:30:04,890

You need to enrich both.

00:30:04,891 --> 00:30:11,241

So what kind of input is required for each?

00:30:11,242 --> 00:30:25,048

First, in the next Chapter 3, we will focus on the brain inherited from ancestral animals, and in Chapter 4, we will focus on the human-specific brain.

00:30:30,001 --> 00:30:39,178

As the third chapter, we will proceed with the theme of "a world that you and your body do not know".

00:30:39,179 --> 00:30:43,167

Let's look back on the history of Homo sapiens.

00:30:43,168 --> 00:30:48,461

Its birth is said to be about 200,000 years ago.

00:30:48,462 --> 00:30:59,689

Since then, we had lived a hunter-gatherer life in the wilderness for a long time, and even after the beginning of farming we had lived in an environment with the wilderness.

00:30:59,690 --> 00:31:07,255

It was 250 years ago that the Industrial Revolution began and urban life isolated from the wilderness began.

00:31:07,256 --> 00:31:16,464

In contrast that we had lived with the wilderness for 200,000 years, we have lived in the city for only 250 years.

00:31:16,464 --> 00:31:22,192

Considering its history, it is still a momentary event.

00:31:22,192 --> 00:31:37,769

In modern times, the "wilderness" has become a term that refers to a special environment, but in the history of Homo sapiens, the "wilderness" is more common than the "city."

00:31:37,770 --> 00:31:52,322

Human beings, that are our bodies and brains, have evolved for 200,000 years, or even 200 million years in terms of mammals, while adapting to life in the wilderness.

00:31:52,323 --> 00:31:57,958

We can't change that in just 250 years.

00:31:57,959 --> 00:32:05,831

In the meantime, in just 12 generations, there are no genetic changes that can be called evolution.

00:32:05,832 --> 00:32:13,034

Our bodies and brains are still designed to live in the wilderness.

00:32:13,035 --> 00:32:18,670

The event that seems to symbolize it is the problem of obesity.

00:32:18,671 --> 00:32:26,698

Animals and hunter-gatherers have no guarantee when they can have a next meal.

00:32:26,699 --> 00:32:36,466

Your body and brain can't afford to miss the chance to get valuable calories to survive in the wilderness.

00:32:36,467 --> 00:32:47,663

When you find food that is high in calories and full of delicious fat and sugar, your brain commands you to dive in and fill your mouth before being taken by someone else.

00:32:47,664 --> 00:32:55,443

It doesn't matter if it leads to illness and shortens life in the future.

00:32:55,444 --> 00:33:03,533

The brain and body are not adapted to the modern society where those foods are easily available.

00:33:03,534 --> 00:33:16,004

Similarly, the sharp and delicate sensory organs that were essential for survival in the wilderness should remain intact.

00:33:16,005 --> 00:33:26,083

Because the 250-year period is too short for them to degenerate.

00:33:27,598 --> 00:33:38,142

Delicate and abundant information that is not found in the city fulling of great stimulation, is overflowing in the wilderness, in Mother Nature.

00:33:38,143 --> 00:33:50,427

If you go there, the delicate sensations which are unrecognized by even yourself in your body, will wake up from sleep and receive them.

00:33:50,427 --> 00:33:53,794

Do not you think so?

00:33:53,795 --> 00:34:01,356

What happens to your output if you receive that rich input?

00:34:01,357 --> 00:34:05,687

Unfortunately, the destruction of nature is progressing.

00:34:05,688 --> 00:34:13,250

Even if you want to experience it, it's very difficult because the wilderness doesn't exist nearby.

00:34:13,250 --> 00:34:21,681

But even if you can't experience it first hand, it's very important to know.

00:34:25,977 --> 00:34:32,637

A migratory bird that crosses the ocean and moves from continent to continent without a landmark.

00:34:32,638 --> 00:34:38,584

You know that animal sensations are so good like that.

00:34:38,584 --> 00:34:42,000

And humans are the same animals.

00:34:42,001 --> 00:34:47,232

First of all, why not see the mysteries of animals directly and be impressed?

00:34:47,233 --> 00:34:51,656

There are millions of animals in the world.

00:34:58,036 --> 00:35:01,869

We will have this kind of experience in the wilderness.

00:35:01,870 --> 00:35:08,002

I went down the river with my friend together and rowed separate canoes.

00:35:08,003 --> 00:35:15,533

My friend were hundreds of meters away unintentionally and I could only see him as dots.

00:35:15,534 --> 00:35:20,921

"Wait a minute, land after that."

00:35:20,922 --> 00:35:28,514

Surprisingly, I was able to have a conversation with a normal voice volume at such a distance.

00:35:31,549 --> 00:35:34,139

I also had this experience.

00:35:34,140 --> 00:35:37,196

It was when I was paddling in Canada.

00:35:37,197 --> 00:35:43,236

I heard a jet fighter roar while sleeping in a tent.

00:35:43,237 --> 00:35:47,225

Maybe the Canadian Air Force is doing exercises.

00:35:47,226 --> 00:35:50,313

I slept as it was without worrying too much.

00:35:50,313 --> 00:35:54,000

But I was surprised to get up the next morning.

00:35:54,001 --> 00:36:07,124

Because the final village was approaching, there was a road on a hill many kilometers away that looked like just a thin line, and only one car was running on it.

00:36:07,125 --> 00:36:11,828

It’s not a truck, it’s a regular car.

00:36:11,829 --> 00:36:18,800

It was the sound of those tire rolling on the asphalt.

00:36:24,642 --> 00:36:30,246

Nothing is special about my ears.

00:36:30,247 --> 00:36:36,162

If you spend your time alone in the wilderness, you will notice your changes.

00:36:36,163 --> 00:36:40,214

Though my experience shows that it takes three days.

00:36:40,215 --> 00:36:49,004

The human ear probably has a much wider dynamic range than you think.

00:36:49,004 --> 00:37:03,726

We might just don't realize that because our ears are the same as those of animals we can even feel the much more delicate vibrations of the air.

00:37:03,727 --> 00:37:10,884

Our modern life is buried in loud and exciting sounds and information.

00:37:10,885 --> 00:37:19,596

Because that world has been normal since we were born, we even feel anxious about the world without sound and information.

00:37:19,597 --> 00:37:26,351

I see some people walking in the park but keeping the radio on.

00:37:26,352 --> 00:37:37,611

We imagine that it is scared and boring that spending days in a quiet, monotonous wilderness with nothing.

00:37:37,612 --> 00:37:48,871

However, the wilderness is full of delicate and rich information that changes without getting tired of it.

00:37:48,871 --> 00:37:59,384

Once you know it, you feel bored on the city that is just a monotonous repetition.

00:37:59,385 --> 00:38:20,523

That is, just as we can never understand the worldview of birds that feel the earth's magnetic field, the worldview, which this world of sound in the wilderness brings, is also difficult to understand unless you experience it, I think.

00:38:20,524 --> 00:38:32,802

By the way, have you ever experienced the feeling of space seen by sound? What is it like?

00:38:37,368 --> 00:38:44,712

By the way, there is one thing that I want to keep in mind when talking, and also you should keep in mind.

00:38:44,713 --> 00:38:50,317

It’s about thinking and experiencing within the framework of science.

00:38:50,318 --> 00:39:00,000

It should not be confused with the existence of something supernatural, the extrasensory perception of something, or the kind of hallucinations created by drugs.

00:39:00,001 --> 00:39:06,320

If you mistakenly pursue them, you won't be able to do true creative work.

00:39:06,320 --> 00:39:20,561

However, sensation is a subjective experience, and it is difficult to measure it with a measuring device and treat it as science, so you must think logically and be careful enough.

00:39:25,701 --> 00:39:35,033

As the fourth chapter, we will proceed with the theme of "recognition beyond perception".

00:39:35,034 --> 00:39:46,914

In the previous chapter, I told you that humans are almost the same as other animals, and that humans have the same sensations as other animals.

00:39:46,915 --> 00:39:55,178

But at the same time, human is completely different from other animals.

00:39:55,178 --> 00:40:01,044

It has a much larger prefrontal cortex, a brain tissue.

00:40:01,044 --> 00:40:06,233

Here are various human-like functions.

00:40:06,233 --> 00:40:13,350

One of them is the ability of thinking about things logically.

00:40:17,439 --> 00:40:22,371

Alaska is partly in the Arctic Circle.

00:40:22,819 --> 00:40:37,057

The Arctic Circle is a perfect circular area centered on the North Pole, where the sun does not set at all in the summer and the sun does not rise at all in the winter.

00:40:38,236 --> 00:40:41,343

Now, look at the equator.

00:40:41,344 --> 00:40:45,439

Go north to Alaska.

00:40:49,010 --> 00:40:54,242

A part of Alaska is in the Arctic Circle.

00:40:57,364 --> 00:41:05,348

The following footage was taken by me in Canada in June, almost midnight sun.

00:41:13,025 --> 00:41:19,423

The Yukon River runs through part of the Arctic Circle and just below it.

00:41:19,424 --> 00:41:28,007

We can kayak for three months in spring, summer and autumn when the river ice is melting.

00:41:28,007 --> 00:41:34,735

In June and July, the days of almost white nights without a night sky continue.

00:41:34,736 --> 00:41:45,204

It's bright even in the middle of the night, so you can act whenever you want, whenever it's convenient, regardless of day or night.

00:41:45,205 --> 00:41:57,469

In addition to life in a camp every day without a clock, the border between day and night has disappeared, so it doesn't make sense a day, 24 hours.

00:41:57,470 --> 00:42:04,228

A world without a day that lasts for two months.

00:42:06,459 --> 00:42:08,848

It's eleven thirty at night.

00:42:11,351 --> 00:42:15,416

Never see the starry sky.

00:42:15,416 --> 00:42:20,977

Uninterrupted sunset and sunrise.

00:43:45,578 --> 00:43:49,583

Yukon Flat has only the horizon.

00:43:49,584 --> 00:43:58,550

There are no people, towns, fields, ranches, railroads, roads.

00:43:58,551 --> 00:44:02,167

Of course, I can't connect to my smartphone.

00:44:02,168 --> 00:44:23,728

The sky in the upper hemisphere, water in the lower hemisphere, and the horizon of thin layers of forest surrounding 360 degrees, that's all.

00:44:23,729 --> 00:44:30,127

There is no targets for comparison because there are only lines in the world.

00:44:30,128 --> 00:44:35,749

Is the river long or short.

00:44:35,765 --> 00:44:40,368

Am I big or small.

00:44:40,369 --> 00:44:47,216

That doesn't make sense because there's no one to compare.

00:44:49,201 --> 00:44:56,796

A world with only a horizon that lasts for two weeks.

00:45:14,712 --> 00:45:17,178

Rowing Alaska

00:45:17,178 --> 00:45:20,523

Rowing Yukon

00:45:20,523 --> 00:45:25,186

Rowing a world without a day in the midnight sun

00:45:25,187 --> 00:45:30,000

There is a world where the concept of time is lost

00:45:30,000 --> 00:45:35,172

Rowing a world unobstructed and with only a horizon

00:45:35,173 --> 00:45:40,345

There is a world where the concept of space is lost

00:45:40,346 --> 00:45:44,261

Rowing a world where the concept of space-time is lost

00:45:44,262 --> 00:45:50,391

What do you see and feel there?

00:45:52,936 --> 00:46:02,955

Actually, the feeling of how long I was paddling this river changed, and it was as if I had been paddling for a thousand years.

00:46:02,955 --> 00:46:17,193

It seems that human sense of time is not solid in the first place, as when involved in an accident the world becomes slow motion, or as time changes with drugs.

00:46:17,194 --> 00:46:26,196

What is time, or in the first place is it a just illusion?

00:46:37,074 --> 00:46:41,707

Only water, sky and horizon, there are.

00:46:41,708 --> 00:47:02,529

I remember that, targets for comparison which defines my size, targets for comparison which defines my place, probably because that kind of the relative measure of time and space are lost, in fact the sense of my existence in the world changes.

00:47:02,530 --> 00:47:18,892

And It made me critically think. Possibly, the self-consciousness of me cannot be born without the presence of others and the existence of society.

00:47:22,981 --> 00:47:31,205

However, the physical time and space are not actually changing there at all.

00:47:31,205 --> 00:47:35,688

The laws of physics are universal everywhere in the universe.

00:47:35,689 --> 00:47:42,596

Exactly the same space-time as Tokyo also exists in Alaska.

00:47:42,596 --> 00:47:48,456

What had changed was how I perceived it.

00:47:48,457 --> 00:47:55,633

Then, is such an experience meaningless?

00:47:55,634 --> 00:48:03,409

Have you ever wondered about the universe when you look at the Milky Way in the night sky?

00:48:03,409 --> 00:48:10,346

Have you ever wondered about time and space in the wilderness?

00:48:10,347 --> 00:48:17,853

Even in the present age when science has unraveled many things, this universe is still a mysterious place.

00:48:17,853 --> 00:48:25,239

Full of endless mysteries, scientists are still chasing.

00:48:25,239 --> 00:48:36,000

It is the evolved prefrontal cortex of humankind that is interested in, pursues, and does creative work on those mystery.

00:48:36,001 --> 00:48:45,990

It is the wonderfulness of human beings to discover the wonders hidden in the depths of the world that we take for granted.

00:48:45,991 --> 00:48:56,190

Around 500 BC, human beings realized the concept of space and invented a painting technique called perspective.

00:48:56,191 --> 00:49:07,437

It's now commonplace and everyone understands, but at that time it would have been a major change in concept.

00:49:08,223 --> 00:49:14,532

In the early 20th century, Einstein discovered the theory of relativity.

00:49:14,533 --> 00:49:27,875

That theory says that this world is a place where space-time is twisted, but it is a concept that human beings can no longer intuitively understand, and it has changed the world significantly.

00:49:27,875 --> 00:49:37,864

Although it's now commonplace, and without this theory, we cannot make even one mobile phone.

00:49:40,751 --> 00:49:47,149

Fully activate the prefrontal cortex and ponder the wonders of the world.

00:49:47,150 --> 00:49:53,848

How will that lead to our future activities?

00:49:53,849 --> 00:50:00,636

How will it help society in the future?

00:50:00,785 --> 00:50:04,042

No one knows it.

00:50:04,043 --> 00:50:08,556

Nobody teach you because nobody know.

00:50:08,557 --> 00:50:12,442

You have to pursue it yourself.

00:50:12,442 --> 00:50:15,100

It ’s a lonely task.

00:50:15,101 --> 00:50:18,148

There is no guarantee.

00:50:18,149 --> 00:50:28,318

But that is the work being requested to humankind as creation, and that is why it is even praised.

00:50:28,319 --> 00:50:35,376

And it’s interesting because no one knows.

00:50:35,377 --> 00:50:45,037

Let's go out into the wilderness to realize the wonder.

2021/10/22

創造/アラスカの大地とユーコン川/Alaska and Yukon


 

創造

アラスカ原野の奥深くへとユーコン川にカヤックを浮かべ独り分け入る/研ぎ澄まされる感覚と知覚を超える認識/人間の創造性とは何か

アラスカは地球から葬り去られようとしている原野が未だ残っている数少ない最果ての地である。その手付かずの大地を旅できる唯一の道がユーコン川であり、数ヶ月ものあいだカヤックを漕ぎ続けなければならない。そこで体験するのは、都市生活とはあまりにもかけ離れた異次元の世界。そこは人間の奥底に眠る鋭い動物の感覚が目覚める世界であり、そこは時間と空間の概念、相対的な感覚、相対的な意識を問われる世界である。人類に求められた仕事としての創造を考える。


▶︎チャプターリスト

オープニングムービー

【第一章 原野のユーコン川】

1-1) 導入

1-2) ユーコン川の位置

1-3) アラスカと日本の面積を比較

1-4) カヤックで移動した軌跡

1-5) アラスカの原野を日本の天然林と比較

1-6) ベネット湖/ユーコン川の源流

1-7) ユーコンフラット/ユーコン川の中流域

1-6) ユーコン川のフライトビュー

1-8) 世界は地平線だけで囲まれている

1-9) 川の中を川が流れている

【第二章 インプットとアウトプット】

2-1) 経験が創造を生む

2-2) 動物脳と人間脳

【第三章 貴方と貴方の体が知らない世界】

3-1) 体と脳は今だに原野で生きている

3-2) 蘇る繊細な感覚

3-3) 原野での経験

3-4) 誰もが秘める繊細な感覚

3-5) 科学の枠組みの中で考え体験する

【第四章 知覚を超えた認識】

4-1) 遥かに肥大化した脳組織/前頭前皮質

4-2) 一日の無い世界

4-3) 地平線しか無い世界

4-4) 時空の概念が失われた世界

4-5) 相対的な感覚、相対的な意識

4-6) 当たり前の世界に隠れる不思議を見出す

4-7) 創造、それが人類に求められた仕事

エンドロール


 この映像制作のきっかけはコロナ・パンデミックでした。多摩美術大学でも感染対策として遠隔授業となり、講堂に会した200〜300人ほどの生徒の面前での講義だったのが、それとは対照的な大学から生徒個人宅へのネットワーク経由での映像配信による授業になったのです。高橋教授の依頼で急遽授業中に使っていた映像とスライドを纏めて一本の動画へと仕立て上げ授業は成立したものの、ベースがあくまでも静止画や文字も含まれたスライドであるため、映像としての完成度は低いものでした。授業としての評価は決して低いものではなかったものの、映像として捉えると私個人としてはとても満足のいくものではなかったため、相当な労力を必要とすることはあらかじめ分かっていたものの、意を決して、より良い作品を作るという意気込みで一から作り直すことにしたのです。

 アラスカでのカヌーの冒険、そして写真展と講演、それから明治大学と多摩美術大学での講演や授業、そしてこの映像作成という経験を経ていますので、いくら身振り手振りで話してもやはり想像するのが難しいアラスカという異国の、原野という全く異なる環境で体験する世界を、映像という武器を使って如何に分かりやすく表現しきるかということに尽力しました。

 丸々数ヶ月もの時間を消費しました。映像を繋ぎ合わせる程度の編集はしたことがあるのですが、ここまで手の込んだ編集はしたことがありませんでした。エンターテイメントの作品ではないので、語りや小難しい話が主体です。映像の利点を活かして、静止画を使っても説明が難しい事をいかに短い時間でいかに直観的に理解させるか、また小難しい話の連続となってもいかに退屈させず好奇心を維持するか、ということを念頭に置いて、さまざまな工夫を凝らしました。しかしながら4K 60 FPSの映像編集は高負荷で、アイデアは浮かんでくるもののそれを試すのを躊躇うほどの大変さであり、数ヶ月もの間部屋に篭りっきりの苦痛の作業でもありました。

 講演や写真展がバージョン1.0、スライドによる授業がバージョン2.0とすると、この映像はバージョン3.0になります。それでもまだ現地に実際に連れて行き共に体験することを想像すればそれはきっとバージョン10.0ぐらいでしょうから、それは遠い道のりですが、それでも3.0という進化を楽しんでいます。

 現地の様子をより良く伝えるために高解像度の地図を映像に取り入れるなどの工夫をしているので、できるならば4Kで、それでなくてもなるべく高解像度で見る事をお勧めします。


▶︎日本語字幕

00:02:23,685 --> 00:02:30,380

第一章として「原野のユーコン川」というテーマで話を進めます

00:02:30,380 --> 00:02:38,214

カナダのブリティッシュコロンビアから国境を越えアラスカへ、広大な原野を流れている川があります

00:02:38,214 --> 00:02:40,693

ユーコン川です

00:02:40,693 --> 00:02:49,605

私はその川の源流から河口近くのグレイリングまで、独りカヤックを漕ぎ2,700キロを縦断しました

00:02:49,745 --> 00:02:55,036

そのような原野の中での体験を軸にしてこの話は進みます

00:02:59,369 --> 00:03:02,715

ユーコン側の位置を説明します

00:03:02,747 --> 00:03:05,286

これが日本

00:03:11,962 --> 00:03:18,000

太平洋を越えて、北米西海岸にあります

00:03:20,971 --> 00:03:37,214

ユーコン川の源流はカナダ・ブリティッシュコロンビア州にあり、カナダ・ユーコン準州へと流れ込み、国境を越えてアメリカ合衆国・アラスカ州へと流れ込みます

00:03:39,081 --> 00:03:43,864

アラスカと日本の面積を比較してみましょう

00:03:44,190 --> 00:03:49,990

アラスカに日本を重ねるとこうなります

00:03:50,889 --> 00:03:54,924

アラスカの面積の方が広い事が分かります

00:03:55,255 --> 00:04:00,187

アラスカの面積は日本の面積の4倍あります

00:04:03,169 --> 00:04:08,251

この赤いラインは私がカヤックで移動した実際の軌跡です

00:04:08,252 --> 00:04:12,299

三ヶ月かけて2,700キロを漕ぎました

00:04:12,493 --> 00:04:21,016

距離感を見るためにその軌跡を日本で伸ばしてみると、宗谷岬から宮古島に達します

00:04:24,869 --> 00:04:29,592

ここで述べている原野とはどのような物でしょうか

00:04:29,592 --> 00:04:38,953

日本とアラスカを上空から同じ高度と同じ速度で比較して、アラスカの原野の様子を見てみます

00:04:40,266 --> 00:04:42,625

まずは日本の上空です

00:04:42,626 --> 00:04:45,284

高度七万七千メートル

00:04:45,285 --> 00:04:49,469

旅客機が飛行する高さの約8倍です

00:04:50,177 --> 00:04:51,997

今九州の上空

00:04:51,998 --> 00:04:54,776

左下に福岡が見えます

00:04:56,004 --> 00:04:59,710

都市や田畑が占める面積に注目して下さい

00:04:59,842 --> 00:05:06,346

杉や檜などの植林地ではない天然の森はピンク色で覆っています

00:05:06,346 --> 00:05:11,080

細かく分断されているのが分かります

00:05:11,081 --> 00:05:15,380

前方に大阪が見えてきました

00:05:16,519 --> 00:05:18,705

そして前方に名古屋

00:05:18,706 --> 00:05:23,098

右側に静岡県が見えています

00:05:29,279 --> 00:05:31,559

そして前方に東京

00:05:31,560 --> 00:05:34,710

広大な関東平野が見えてきました

00:05:34,711 --> 00:05:40,035

そのほとんどが都市や田畑に埋め尽くされています

00:05:45,480 --> 00:05:47,542

東北に入ります

00:05:47,543 --> 00:05:53,054

会津や仙台の上空を通過します

00:05:57,283 --> 00:06:00,712

今盛岡の上空です

00:06:04,174 --> 00:06:09,063

青森を越えて、津軽海峡を渡ります

00:06:13,341 --> 00:06:17,267

そして北海道に上陸

00:06:17,268 --> 00:06:19,268

今札幌上空

00:06:19,269 --> 00:06:27,452

北海道といえども都市や田畑の面積が多くを占めていることに注目してください

00:06:30,682 --> 00:06:37,559

それではアラスカ上空を同じ高度と同じ速度で通過してみましょう

00:06:37,560 --> 00:06:42,000

ベーリング海側から入ります

00:06:42,001 --> 00:06:50,557

天然の森の色分けはしていませんが、この広大な面積の99%以上が原野です

00:06:50,558 --> 00:06:54,329

今ユーコン川が見えてきました

00:06:54,330 --> 00:07:00,866

広大な湿原の中を大きく蛇行しているのが分かります

00:07:02,295 --> 00:07:04,885

都市や田畑は見当たりません

00:07:04,886 --> 00:07:11,142

道や鉄道も、日本のような林道も見当たりません

00:07:12,001 --> 00:07:15,741

右手前方にやっと小さな町が見えて来ました

00:07:15,742 --> 00:07:19,979

人口六万人のフェアバンクスです

00:07:40,514 --> 00:07:49,102

日本とアラスカで人間が介在しない手付かずの自然が占める面積を比較してみましょう

00:07:49,103 --> 00:07:54,427

アラスカの全面積は約150万平方キロメートル

00:07:54,428 --> 00:08:00,871

日本の全面積は約38万平方キロメートル

00:08:00,872 --> 00:08:08,402

地図上の面積とグラフ状の面積が同じになるように大きさを調整しています

00:08:08,403 --> 00:08:13,355

アラスカを占める町や田畑の面積は1%未満

00:08:13,356 --> 00:08:18,836

0.1%未満と書かれている資料もあります

00:08:18,837 --> 00:08:24,379

残りの99%が人の手の関わらない原野です

00:08:24,380 --> 00:08:35,763

道路や鉄道なども極端に少ないため、動植物にとって自由に移動できる分断されていない一つの大きな原野になっています

00:08:35,764 --> 00:08:37,764

日本はどうでしょうか

00:08:37,793 --> 00:08:42,516

町や田畑などが34%を占めます

00:08:42,516 --> 00:08:46,007

残りの66%が森林です

00:08:46,008 --> 00:08:53,072

多いと思ったでしょうか、それとも少ないと思ったでしょうか

00:08:55,988 --> 00:09:03,766

その森林の内46%が木材生産のためのスギやヒノキなどの人工林です

00:09:03,767 --> 00:09:10,396

残りの54%が二次林を含む天然林です

00:09:13,234 --> 00:09:24,951

さてその天然林ですが、先程の動画で分かるように細かく分断されており、動植物の移動が町や道路によって妨げられています

00:09:24,952 --> 00:09:31,706

一番大きな分断されていない一塊の天然林は何処でしょうか

00:09:31,707 --> 00:09:36,659

おそらく北海道の大雪山国立公園でしょう

00:09:36,659 --> 00:09:42,512

その面積は天然林の1.6%です

00:09:55,757 --> 00:10:03,132

人間が関与せずそして分断されていない土地は生物多様性にとって必須です

00:10:03,133 --> 00:10:12,403

日本とアラスカでその面積を円の大きさとして見比べてみると、その規模の違いが分かります

00:10:15,706 --> 00:10:21,123

ユーコン川の源流は氷河の水が溜まった湖です

00:10:21,154 --> 00:10:25,018

私の旅はそこから始まりました

00:10:25,019 --> 00:10:32,518

まるで数珠のように幾つもの湖が細い水路で繋がっています

00:10:32,519 --> 00:10:43,188

湖はとても大きいので、四つの湖を抜けてやっと流れのある川へと辿り着くまでに、二週間以上かかりました。

00:10:43,188 --> 00:10:49,476

そのスタート地点となるベネット湖の場所を見てみましょう

00:10:49,477 --> 00:10:52,192

まずは日本

00:10:54,001 --> 00:10:58,331

そして太平洋を越えてカナダへ

00:11:07,876 --> 00:11:11,398

そしてベネット湖へ

00:11:13,975 --> 00:11:20,263

緑色のテントのマークは私が野営した場所です

00:11:20,264 --> 00:11:27,049

赤い線が私が実際にカヤックを漕いだ軌跡です

00:11:45,375 --> 00:11:52,875

遠方の山が白く氷河に覆われています

00:11:52,876 --> 00:11:58,977

氷河が溶けて湖を形成しているのが分かります

00:12:02,518 --> 00:12:08,992

このベネット湖の大きさが掴みにくいので、関東平野と比べてみましょう

00:12:08,993 --> 00:12:16,865

関東平野を重ねてみるといかに湖が大きいかが分かります

00:12:20,220 --> 00:12:26,197

実際にその場所を私が撮影した動画で見てみましょう

00:13:30,797 --> 00:13:33,325

いい朝

00:13:33,326 --> 00:13:38,029

6月2日、午前6時

00:13:47,190 --> 00:13:51,055

聞こえてるかな、この音

00:15:13,469 --> 00:15:20,130

ユーコン川の中流域にユーコンフラットと呼ばれる領域があります

00:15:20,131 --> 00:15:24,989

名前の通りフラットな平な場所です

00:15:24,990 --> 00:15:31,433

山に囲まれた窪地に川が運んできた土が堆積してできた平野

00:15:31,434 --> 00:15:35,702

日本で言えば山梨県の甲府盆地のようなもの

00:15:35,703 --> 00:15:39,350

その場所がここです

00:15:56,065 --> 00:16:02,632

傾斜の強さを色で表すと、全く傾斜の無い平な場所が見えてきます

00:16:02,633 --> 00:16:06,746

そこがユーコンフラットです

00:16:08,632 --> 00:16:16,287

甲府盆地と同じような盆地とも言えますが、しかしそのスケールは大きく異なります

00:16:16,288 --> 00:16:20,463

何とその面積は甲府盆地の100倍

00:16:20,464 --> 00:16:24,825

周囲の山は地平線に隠れて見えません

00:16:24,826 --> 00:16:29,343

カヤックで縦断するのに二週間はかかります

00:16:29,344 --> 00:16:33,395

見比べてみましょう

00:16:34,233 --> 00:16:38,159

ユーコンフラットに甲府盆地を重ねてみます

00:16:38,160 --> 00:16:45,659

すると甲府盆地どころか関東平野から名古屋まで入ってしまいました

00:16:46,551 --> 00:16:56,381

ユーコンフラットは東西に約290km南北に約190kmも広がっているのです

00:16:58,175 --> 00:17:06,171

ユーコンフラットを生みその中央を流れるユーコン川の上空を飛んでみましょう

00:17:27,482 --> 00:17:34,235

緑色のテントのマークが私が野営した場所です

00:17:34,236 --> 00:17:45,681

広大なユーコンフラットの平野の中で、ユーコン川が網のように複雑な流れを作っているのが分かります

00:17:45,681 --> 00:17:51,689

川幅は広いところで2キロメートルほどもあります

00:17:51,690 --> 00:18:01,892

スケール感が分かりにくいので、同じ高度と同じアングルで関東平野と見比べてみましょう

00:18:36,818 --> 00:18:55,329

流れが複雑なので水の上のカヤックの視点からでは何処が本流なのか見極めるのが難しく、流れの浅い支流に迷い込んで座礁しないようにするのが大変でした

00:19:07,341 --> 00:19:15,928

ユーコン川のスケールが日本の川とは比較にならないほどに大きいことが分かります

00:19:15,929 --> 00:19:21,751

荒川とその大きさを比べてみてください

00:19:27,709 --> 00:19:38,626

川の両サイドの湿原に、昔川が流れた跡が三日月湖となって無数に残っているのが見えるでしょうか

00:19:38,627 --> 00:19:45,256

これが自然のままに流れる本来の川の姿です

00:19:48,959 --> 00:19:54,128

何処までも平なユーコンフラットが続きます

00:21:24,997 --> 00:21:33,024

では実際に私がそこでカヤックを漕ぎ撮影した映像を見てみましょう

00:21:33,025 --> 00:21:36,268

7月23日の行程です

00:21:39,349 --> 00:21:43,679

この赤い軌跡が実際に私が漕いだルート

00:21:43,680 --> 00:21:47,731

ユーコンフラットの入り口にあたります

00:21:49,382 --> 00:22:00,889

この映像は周囲360度を撮影するために、右側だけを漕いでカヤックをわざと旋回させています

00:22:06,733 --> 00:22:15,350

山や丘などの起伏は一切見えず、世界は地平線だけで囲まれています

00:22:44,095 --> 00:22:48,518

2日後の7月25日

00:23:12,292 --> 00:23:20,600

ユーコンフラットに入ってから3日目ですが、山や丘などの起伏は未だ一切見当たりません

00:23:20,601 --> 00:23:27,137

民家や道路や田畑などもなく平な原野だけが広がります

00:23:27,138 --> 00:23:34,047

この地平線だけしかない世界が2週間ものあいだ続くのです

00:24:15,523 --> 00:24:22,090

川の水には微細なシルトが浮遊していて、1センチ下が見えません

00:24:22,091 --> 00:24:35,110

広い海の中を黒潮がまるで川のように蛇行しながら流れているように、だだっ広い川の中で本流という川が蛇行しながら流れています

00:24:35,111 --> 00:24:43,107

しかしそれは目で見て分かる物ではなく、経験による感に頼るしかありません

00:24:43,108 --> 00:24:56,417

もし本流を見逃して浅い支流に迷い込んでしまうと、そこから脱出することは出来ず、座礁して水圧にカヤックが押し潰されてしまいます

00:25:09,752 --> 00:25:19,706

浅瀬に乗り上げた倒木の横を、周囲をよく見渡しながら慎重にゆっくりと通り過ぎます

00:25:35,810 --> 00:25:44,179

第二章として「インプットとアウトプット」というテーマで話を進めます

00:25:44,184 --> 00:25:52,274

インプットがあり、そしてアウトプットが発生する、機械とはそういう物ですね

00:25:52,275 --> 00:25:58,842

センサーからのインプットに応じてアウトプットとしての動作が決まる

00:25:58,843 --> 00:26:02,707

単純な昆虫なども同じです

00:26:02,707 --> 00:26:14,479

触覚が右方向に餌の匂いを発見する、というインプットに対して、右方向に進路を取る、というアウトプットが生まれる

00:26:14,480 --> 00:26:20,426

遥かに複雑な人間であっても基本は同じと言えます

00:26:20,427 --> 00:26:37,743

親から友達から社会から学校から受け取る経験というインプットに対してその人の個性が生まれ、どのような思考や活動を取るかというアウトプットが生まれる

00:26:37,744 --> 00:26:58,416

そのように捉えると、クリエイティブな活動をしたければ、豊かなアウトプットを生み出したければ、自分にどのようなインプットを与えるのか、すなわち自分にどのような経験を与えるのか、そのことがとても重要であることが分かります

00:26:58,417 --> 00:27:17,054

「なんだ、そんなことは当たり前じゃないか」と思うかも知れませんが、その辺りをもし深く探ってみたければ、自由意志について今現在科学者がどのように捉えているか調べてみて下さい

00:27:17,055 --> 00:27:33,097

豊かなアウトプットを生み出したければ、今いる見慣れた環境から一歩外へと飛び出し、想像だにしなかった世界を見て聞いて感じて考える必要があるということでしょう

00:27:36,452 --> 00:27:51,916

でも何もわざわざ外の世界を経験しなくても、すなわちインプットなど必要とせずに、頭の中だけで豊かな創造を豊かなアウトプットを生むことは出来ないのでしょうか

00:27:51,917 --> 00:28:00,379

持って生まれた才能さえあれば体験や学習など必要としないのではないでしょうか

00:28:00,399 --> 00:28:04,139

私はそうではないように思います

00:28:04,140 --> 00:28:35,267

例えば特定の計算やスケッチや空間把握などで常人を超えた才能を生まれながらに持っていたとしても、それは動物として祖先から引き継いだ基礎能力が突出したものであって、確かにそれらは素晴らしいものではありますが、より高次な創造性はさらにその先で人間特有の脳が学習していくものなのではないでしょうか

00:28:35,268 --> 00:28:39,008

人類は変化を続けています

00:28:39,009 --> 00:28:53,778

環境破壊などの面ではその変化は今のところ退化とも言えそうですが、世界や自分への理解を急速に深めているという面では進化と言えるでしょう

00:28:53,779 --> 00:29:06,995

自分とは何かを理解できる脳科学も近年急速に発達し、今や医療に留まらず社会の在り方にすら深く影響を与えつつあります

00:29:06,995 --> 00:29:15,426

そこでインプットの重要性という議論を脳科学を軸に捉えてみます

00:29:15,427 --> 00:29:21,870

ホモサピエンスの脳は大きく二つに分けて考えることができます

00:29:21,871 --> 00:29:32,136

祖先の動物から引き継いだ、我々の行動や感情の大部分を生み出し、生命としての根幹を成す部分

00:29:32,136 --> 00:29:37,137

爬虫類や他の哺乳類と共通な部分です

00:29:37,138 --> 00:29:47,180

そして人間だけが大きく肥大させた、自己の認識やコントロール、論理的思考などを生み出す部分

00:29:47,180 --> 00:29:52,342

おでこの裏にある前頭前皮質です

00:29:52,343 --> 00:30:00,000

そのどちらもが貴方そのものであり、どちらか一方に重点を置くことは出来ません

00:30:00,001 --> 00:30:04,890

どちらも豊かにする必要があるのです

00:30:04,891 --> 00:30:11,241

ではそれぞれにどのようなインプットが求められているのでしょうか

00:30:11,242 --> 00:30:25,048

まずは次の第三章で、祖先の動物から受け継いできた脳の方を、そして第四章で、人間特有の脳の方を取り上げていきます

00:30:30,001 --> 00:30:39,178

第三章として「貴方と貴方の体が知らない世界」というテーマで話を進めます

00:30:39,179 --> 00:30:43,167

ホモサピエンスの歴史を振り返ってみましょう

00:30:43,168 --> 00:30:48,461

その誕生は約20万年前と言われています

00:30:48,462 --> 00:30:59,689

それから長いあいだ原野の中で狩猟採集生活を、農耕が始まってからも原野のある環境の中で生きてきました

00:30:59,690 --> 00:31:07,255

産業革命が起こり原野から隔離された都市生活が始まったのは250年前

00:31:07,256 --> 00:31:16,464

20万年ものあいだ原野と共に生きてきたのに対して、都市生活はたったの250年です

00:31:16,464 --> 00:31:22,192

その歴史から考えればまだ瞬間の出来事です

00:31:22,192 --> 00:31:37,769

現代では「原野」といえば特殊な環境をさす言葉となってしまいましたが、ホモサピエンスの歴史の中では「都市」よりも「原野」のほうが普通のことなのです

00:31:37,770 --> 00:31:52,322

人類は20万年もの間、いやそれどころか哺乳類という枠で考えれば2億年もの間、原野での生活に適応しながら進化し続けてきた体と脳

00:31:52,323 --> 00:31:57,958

それをたったの250年で変えるようなことはできません

00:31:57,959 --> 00:32:05,831

その間たったの12世代では、進化と呼べるような遺伝子の変化は生じません

00:32:05,832 --> 00:32:13,034

私達の体と脳は、いまだに原野の中で生きるように出来ています

00:32:13,035 --> 00:32:18,670

それを象徴するかのような事象は肥満の問題です

00:32:18,671 --> 00:32:26,698

動物や狩猟採集生活者は、次はいつ食事にありつけるのか何の保証もありません

00:32:26,699 --> 00:32:36,466

体と脳は原野で生き延びようと、貴重なカロリー摂取という千載一遇の機会を逃すわけがありません

00:32:36,467 --> 00:32:47,663

高カロリーで美味しい油や砂糖が一杯の食料を見つけると、他の誰かに取られる前に飛びつき頬張れと、脳は命令を下します

00:32:47,664 --> 00:32:55,443

将来病気を導いて寿命を縮める結果になろうと、そんなことにはお構いなしです

00:32:55,444 --> 00:33:03,533

それらが安易に手に入る現代社会には、脳と体は適応していないのです

00:33:03,534 --> 00:33:16,004

それと同様に、原野の中で生き延びるために不可欠であった鋭く繊細な感覚器官も、失われることなく持ち続けているはずです

00:33:16,005 --> 00:33:26,083

何故ならばそれらが退化するには250年という期間はあまりにも短すぎるのです

00:33:27,598 --> 00:33:38,142

大きな刺激に溢れかえっている都会にはない繊細で豊かな情報が、原野の中には、大自然の中には溢れている

00:33:38,143 --> 00:33:50,427

そこに行けば、私達の中で本人にすら知られることなく出番を待ち続けている繊細な感覚が、眠りから目覚めそれらを受け取ってくれる

00:33:50,427 --> 00:33:53,794

そう思いませんか

00:33:53,795 --> 00:34:01,356

もしその豊かなインプットを受け取ったならば、アウトプットはどうなるのでしょうか

00:34:01,357 --> 00:34:05,687

残念ながら自然の破壊は進んでいます

00:34:05,688 --> 00:34:13,250

皆さんがそれを体験したくても、原野が身近に存在しないためにとても困難です

00:34:13,250 --> 00:34:21,681

しかし直接体験できなくても、知っていることはとても大切です

00:34:25,977 --> 00:34:32,637

目印もないのに大海原を超え、大陸から大陸へと移動する渡り鳥

00:34:32,638 --> 00:34:38,584

そのように動物の感覚がとても優れていることは知っていると思います

00:34:38,584 --> 00:34:42,000

そして人間も変わらぬ動物です

00:34:42,001 --> 00:34:47,232

まずは動物の神秘を直接見て、感動してみませんか

00:34:47,233 --> 00:34:51,656

世界には百万種類もの動物がいます

00:34:58,036 --> 00:35:01,869

原野ではこんな経験をします

00:35:01,870 --> 00:35:08,002

友達と二人で川を下り、別々のカヌーを漕いでいました

00:35:08,003 --> 00:35:15,533

友達は遠く数百メートルも離れてしまい、点にしか見えなくなりました

00:35:15,534 --> 00:35:20,921

「ちょっと待ってくれよ、その先で上陸してくれ」

00:35:20,922 --> 00:35:28,514

驚いたことにそんな距離でありながら普通の声量で会話が出来たのです

00:35:31,549 --> 00:35:34,139

またこんな経験もしました

00:35:34,140 --> 00:35:37,196

カナダを漕いでいた時のことです

00:35:37,197 --> 00:35:43,236

テントで寝ている時にジェット戦闘機の爆音を聞きました

00:35:43,237 --> 00:35:47,225

カナダの空軍が演習でもしているのだろう

00:35:47,226 --> 00:35:50,313

あまり気にせずそのまま寝ました

00:35:50,313 --> 00:35:54,000

しかし翌朝起きてびっくり

00:35:54,001 --> 00:36:07,124

終着点の村が近づいてきたので、何キロも離れた丘の上に線にしか見えない道路があったのですが、その上をたった一台の車が走っていました

00:36:07,125 --> 00:36:11,828

トラックではありません、普通乗用車です

00:36:11,829 --> 00:36:18,800

何とそのタイヤがアスファルトの上を転がる音だったのです

00:36:24,642 --> 00:36:30,246

なにも私の耳が特別に素晴らしい訳ではありません

00:36:30,247 --> 00:36:36,162

皆さんも原野の中で独り過ごせば、自分の変化に気付くはずです

00:36:36,163 --> 00:36:40,214

経験上三日は必要ですが

00:36:40,215 --> 00:36:49,004

人間の耳は自分が思っているよりも遥かに広いダイナミックレンジを持っているのでしょう

00:36:49,004 --> 00:37:03,726

自分の耳もまた動物のそれと同じであり、遥かに繊細な空気の振動ですら感じとることが出来るのだと言うことに、我々が気付いていないだけなのでしょう

00:37:03,727 --> 00:37:10,884

我々の近代生活は、大きくて刺激的な音や情報に埋もれています

00:37:10,885 --> 00:37:19,596

生まれてこの方その世界が普通なため、音のない、情報がない世界に不安すら感じます

00:37:19,597 --> 00:37:26,351

公園を散歩しているのにラジオを鳴らしっぱなしにしている人も見かけます

00:37:26,352 --> 00:37:37,611

何もなく静寂で単調な原野の中で何日も過ごすなど、怖くて退屈極まりないと想像します

00:37:37,612 --> 00:37:48,871

しかしながら原野の中には、飽きることなく移り変わる、繊細だがとても豊かな情報に、世界に満ちあふれています

00:37:48,871 --> 00:37:59,384

いちどそれを知ってしまうと、都会の単調な繰り返しでしかないありように、逆につまらなさを感じるほどです

00:37:59,385 --> 00:38:20,523

そのことは、例えば地球の磁場を感じる鳥の世界観を私達は決して理解し得ないように、この原野の音の世界がもたらす世界観もまた、あなたが体験しない限りやはり理解が難しいことだと思います

00:38:20,524 --> 00:38:32,802

さて皆さんは、音で見る空間の感覚を体験したことはありますか?それはどのようなものでしょう

00:38:37,368 --> 00:38:44,712

ところで、私が話す上でも、そしてみなさん自身も一つ気を付けておきたいことがあります

00:38:44,713 --> 00:38:50,317

それは科学の枠組みの中で考え、体験することです

00:38:50,318 --> 00:39:00,000

超自然的な何かの存在や、何かの超感覚、またドラッグが生み出す幻覚の類と混同してはなりません

00:39:00,001 --> 00:39:06,320

それらを誤って追い求めても、真の創造的な仕事はできないでしょう

00:39:06,320 --> 00:39:20,561

しかし感覚は主観的な経験であり、計測機器などで測定し科学として扱うことは困難であるため、論理的に考え、十分気を付けなければなりません

00:39:25,701 --> 00:39:35,033

第四章として「知覚を超えた認識」というテーマで話を進めます。

00:39:35,034 --> 00:39:46,914

前章では、人間は他の動物と殆ど変わらない、人間は他の動物と同じような感覚を持っているのだと伝えました

00:39:46,915 --> 00:40:01,125

しかしまた同時に、人間は他の動物とは全く異なる存在でもあります。

00:39:55,178 --> 00:40:01,044

遥かに肥大化した前頭前皮質という脳組織を持っているのです

00:40:01,044 --> 00:40:06,233

ここに人間らしい様々な機能があります

00:40:06,233 --> 00:40:13,350

論理的に物事を考察することが出来るようになったのも、そのうちの一つです

00:40:17,439 --> 00:40:22,371

アラスカは、その一部が北極圏に入ります

00:40:22,819 --> 00:40:37,057

北極圏とは、夏になると太陽が全く沈まない白夜となる、そして冬は全く太陽が昇らない、北極を中心とした真円の領域です

00:40:38,236 --> 00:40:41,343

今赤道を見ています

00:40:41,344 --> 00:40:45,439

北上するとアラスカがあります

00:40:49,010 --> 00:40:54,242

そのアラスカは北極圏に接しています

00:40:57,364 --> 00:41:05,348

次の映像はほぼ白夜の6月のカナダで私が撮影したものです

00:41:13,025 --> 00:41:19,423

ユーコン川は北極圏の一部と、そしてその僅か下を流れています

00:41:19,424 --> 00:41:28,007

カヤックが漕げるのは、川の氷が溶けている春夏秋の三ヶ月間

00:41:28,007 --> 00:41:34,735

6月7月は夜空の無いほぼ白夜の日々が続きます

00:41:34,736 --> 00:41:45,204

たとえ夜中と言える時間であっても明るいので、昼夜関係なく好きなときに、都合の良いときに行動できるのです

00:41:45,205 --> 00:41:57,469

ただでさえ毎日キャンプで時計のいらない生活なのに、昼夜の境がなくなったので、一日、24時間も意味を持ちません

00:41:57,470 --> 00:42:04,228

二ヶ月もの間続く、一日のない世界

00:42:06,459 --> 00:42:08,848

夜の11時半

00:42:11,351 --> 00:42:15,416

星空を見ることがない

00:42:15,416 --> 00:42:20,977

途切れることなく続く夕日と朝日

00:43:45,578 --> 00:43:49,583

ユーコンフラットには地平線しかありません

00:43:49,584 --> 00:43:58,550

人も町も畑も牧場も鉄道も道路も何もありません

00:43:58,551 --> 00:44:02,167

もちろんスマホも繋がりません

00:44:02,168 --> 00:44:23,728

上半分の半球には空、下半分の半球には水、そして森の薄い層が成す360度を取り囲む地平線、ただそれだけです

00:44:23,729 --> 00:44:30,127

世界には線しかないから比較対象もありません

00:44:30,128 --> 00:44:35,749

川は長いのか、それとも短いのか

00:44:35,765 --> 00:44:40,368

俺は大きいのか、それとも小さいのか

00:44:40,369 --> 00:44:47,216

そんなことは比べる相手がいないから意味を成しません

00:44:49,201 --> 00:44:56,796

二週間もの間続く地平線しか無い世界

00:45:14,712 --> 00:45:17,178

アラスカを漕ぐ

00:45:17,178 --> 00:45:20,523

ユーコンを漕ぐ

00:45:20,523 --> 00:45:25,186

白夜の一日のない世界を漕ぐ

00:45:25,187 --> 00:45:30,000

そこは時間の概念が失われた世界

00:45:30,000 --> 00:45:35,172

遮るもののない地平線しかない世界を漕ぐ

00:45:35,173 --> 00:45:40,345

そこは空間の概念が失われた世界

00:45:40,346 --> 00:45:44,261

時空の概念が失われた世界を漕ぐ

00:45:44,262 --> 00:45:50,391

そこでは何を見て何を感じるのでしょう

00:45:52,936 --> 00:46:02,955

実際自分がどのくらいの間この川を漕いでいるのかその実感は変わり、まるで千年も漕いでいるようでした

00:46:02,955 --> 00:46:17,193

アクシデントに巻き込まれると世界がスローモーションになるように、また薬物でも変化するように、人間の時間感覚はそもそも確固たるものではないようです

00:46:17,194 --> 00:46:26,196

はたして時間とは何者なのか、それともそもそも幻なのでしょうか

00:46:37,074 --> 00:46:41,707

水と空と地平線しかない

00:46:41,708 --> 00:47:02,529

自分の大きさを定義する相手、自分のいる場所を定義する相手、そんな時間と空間の相対的な尺度が失われるからなのか、実際、世界に対する私の存在という感覚が変わってくるように覚えました

00:47:02,530 --> 00:47:18,892

そしてまた考えされられます。もしかしたら私という自我の意識は、他人の存在があって、社会という存在があって、初めて生まれ出るのではなかろうか

00:47:22,981 --> 00:47:31,205

しかし実際に物理的な時間や空間がそこで変化している訳では全くありません

00:47:31,205 --> 00:47:35,688

物理法則は宇宙の何処でも普遍です

00:47:35,689 --> 00:47:42,596

東京と全く同じ時空が、やはりアラスカにも存在している

00:47:42,596 --> 00:47:48,456

変わったのは、私の中でのその捉え方

00:47:48,457 --> 00:47:55,633

じゃあ、こんな体験は意味がないのでしょうか

00:47:55,634 --> 00:48:03,409

夜空に天の川を眺めて、宇宙を不思議に思ったことはありませんか

00:48:03,409 --> 00:48:10,346

原野の中で、時間と空間を不思議に思ったことがありませんか

00:48:10,347 --> 00:48:17,853

科学が多くのことを解き明かした現代であっても、未だにこの宇宙は不思議なところです

00:48:17,853 --> 00:48:25,239

尽きることのない謎に満ち溢れており、科学者はいまだに追い続けています

00:48:25,239 --> 00:48:36,000

その謎に興味を覚え、追求し、創造的な仕事をしているのが、人類の進化した前頭前皮質です

00:48:36,001 --> 00:48:45,990

当たり前だと思っている世界の奥底に潜む不思議を見つけだせることが、人間の素晴らしさです

00:48:45,991 --> 00:48:56,190

紀元前500年ごろ、空間という概念に気づいた人類は、遠近法という絵画の手法を発明しました

00:48:56,191 --> 00:49:07,437

いまとなっては当たり前であり誰もが理解していることですが、当時は大きく概念が変わる出来事だったことでしょう

00:49:08,223 --> 00:49:14,532

20世紀初頭には、アインシュタインが相対性理論を発見しました

00:49:14,533 --> 00:49:27,875

この世は時空がねじ曲がった世界であるというのですが、それは人間にはもう直感的に理解するのが不可能な概念であり、世界を大きく変えました

00:49:27,875 --> 00:49:37,864

いまとなっては当たり前の事実であり、この理論なしには携帯電話の一つですら作れないのですが

00:49:40,751 --> 00:49:47,149

前頭前皮質をフルに活動させ、世界の不思議に思いを馳せる

00:49:47,150 --> 00:49:53,848

それがどのような形でこの先の私達の活動に結びつくのでしょうか

00:49:53,849 --> 00:50:00,636

それがどのような形でこの先の社会に役立つのでしょうか

00:50:00,785 --> 00:50:04,042

それは誰にも分かりません

00:50:04,043 --> 00:50:08,556

分からないことだから、誰も教えてくれません

00:50:08,557 --> 00:50:12,442

自らが追求する必要があるのです

00:50:12,442 --> 00:50:15,100

孤独の作業です

00:50:15,101 --> 00:50:18,148

何の保証もありません

00:50:18,149 --> 00:50:28,318

しかしそれが創造という人類に求められた仕事なのであり、だから称賛すらされるのです

00:50:28,319 --> 00:50:35,376

そして誰にも分からないから面白いのです

00:50:35,377 --> 00:50:45,037

不思議を実感するために、原野の中に出かけましょう


2021/09/28

日本人のルーツ

 日本人のルーツは、今まで言われていた縄文時代と弥生時代の大陸からの移住だけでなく、古墳時代の移住もあるってさ。その頃の国家成立という大きな流れの中でどう動いたのだろうね、興味あるね。

https://www.smithsonianmag.com/smart-news/japanese-ancestors-came-from-three-ancient-groups-180978725/?fbclid=IwAR1TALg1rcpx_yUCdib7vktG9Q2VClUXyD3GcJfHTISI84uFXFkKYogyN0w



2021/07/20

大雪山全縦走、黒岳から富良野岳へ

  大雪山全縦走、黒岳から富良野岳へ

山頂やキャンプで飲むに素晴らしい香り高きスペシャリティコーヒーを焙煎販売しているウミアック珈琲によるプレゼンツです

 

 昨年来の念願であった北海道・大雪山の縦走を果たしました。今年キャンプ登山デビューした友人一人を連れて、大雪山国立公園の最北端に位置する黒岳から最南端に位置する富良野岳までを、大雪山の早春である7月8日から7月14日にかけて6泊7日で縦断しました。

 花、花、花。大雪山とはこんなにも花に満ち溢れた場所だとは知りませんでした。まるで天上の国でした。また単発では大雪山、トムラウシ山、富良野岳と登っていたのですが、縦走をしないと知り得ない魅力が大雪山国立公園にはあふれており、その感動は10倍にもなることが分かりました。

 下図の赤い線が実際に歩いた軌跡です。右端が黒岳で、左端が富良野岳です。




【1日目】

山行: 7時間44分 休憩: 2時間48分 合計: 10時間32分

黒岳リフト七合目乗り場07:14 -> 09:16黒岳09:54 -> 10:31黒岳石室10:53 -> 11:52お鉢平展望台11:56 -> 12:33北鎮岳分岐12:43 -> 13:00北鎮岳13:28 -> 13:37北鎮岳分岐13:42 -> 14:04中岳14:06 -> 14:27中岳分岐 -> 15:05間宮岳 -> 15:07間宮岳分岐 -> 15:38裏旭キャンプ指定地16:14 -> 16:57大雪山17:20 -> 17:46裏旭キャンプ指定地


 お鉢巡りをしながら黒岳から旭岳に向かう。霧に覆われたり、霧が晴れてお鉢や旭岳や白雲岳が見渡せたりの、コロコロと移り変わる天気模様だった。



 コマクサ。高山植物の女王。他の植物が育ちにくい環境のより厳しい場所に生息することができる。


キバナシャクナゲ


 エゾタカネスミレ。下の花びらだけにある線状の模様が、バカボンのパパの鼻毛に見えるので、バカボンのパパと勝手に命名。


イワウメ


 周囲が風化して取り残された層状の堆積岩。


 旭岳山頂への登山道は雪渓に覆われていた。


【2日目】
山行: 11時間47分 休憩: 1時間48分 合計: 13時間35分
裏旭キャンプ指定地05:59 -> 06:38間宮岳分岐 -> 06:44荒井岳06:45 -> 07:16松田岳07:18 -> 07:34北海岳07:43 -> 09:10白雲分岐 -> 09:40白雲岳10:04 -> 10:31白雲分岐 -> 11:12白雲岳避難小屋11:53 -> 13:11高根ヶ原分岐13:13 -> 15:35忠別沼15:37 -> 16:42忠別岳17:09 -> 18:18忠別岳避難小屋分岐 -> 19:34忠別岳避難小屋


 朝焼けの裏旭キャンプ指定地。テントを張っているのは我々だけだった。夜、特に朝方は冷えて、モンベルの#5の寝袋では寒くて寝付けなかった。


 白雲岳へと向かう。


北海平には花々が咲き乱れる。
キバナシャクナゲ


エゾオヤマノエンドウ


キバナシオガマ


イワウメ


 雪渓の深さに驚く。切れ落ちた雪渓の高さは一体何メートルあるのだろう。20〜30メートルはあるように見えた。


 荷物をデポして白雲岳へは空荷で登る。楽ちん。


エゾコザクラ


 白雲岳避難小屋に至るまでに雪渓のトラバース。


エゾノリュウキンカ


タカネオミナエシ


 忠別岳へと続く高根ヶ原。左下に高原沼を覗きながら歩く。そこでは雪渓で遊ぶヒグマの姿を見られることがあるそうだが(ヒグマ情報センターで撮影された映像を見たことがある)、残念ながら今日は目撃できず。


 沼の中央に雪が残っていて、まるで瞳のよう。


 忠別岳山頂。雲が湧き立つ。


 見事な花畑!


 忠別岳避難小屋に泊まった。小屋宿泊は総勢10名ほど。小屋までの道は雪渓に覆われており、雪渓が割れてクレパスとなっている場所を横断する必要があった。水汲み場は小屋から離れた、雪渓を横断した先にあった。


【3日目】
山行: 8時間54分 休憩: 2時間23分 合計: 11時間17分
忠別岳避難小屋06:25 -> 06:43忠別岳避難小屋分岐07:38 -> 五色岳07:42 -> 09:18化雲岳09:39 -> 10:03ヒサゴ沼分岐10:06 -> 10:33ヒサゴのコル10:36 -> 11:23天沼11:25 -> 11:33日本庭園11:36 -> 12:36ロックガーデン12:37 -> 13:39北沼13:43 -> 14:47南沼キャンプ指定地16:09 -> 16:40トムラウシ山17:00 -> 17:42南沼キャンプ指定地


 昨夜泊まった忠別岳避難小屋。


クロユリ


 今回の縦走で一番印象深かったのは、化雲岳の周囲に広がるお花畑だった。一面に広がる花、花、花。とくに化雲岳からトムラウシ山へ向かう途中で左側に広がるヒサゴ沼へと至る大地には、見渡す限りにエゾノツガザクラとチングルマが咲き乱れ、霧のベールの美しさと相まって、ここは天国かといぶかしる程だった。そこは神遊びの庭と呼ばれているようだ。




 トムラウシ山の日本庭園(地図上にもそう書かれている)。どんなに労力やお金を費やしても、これほどの美を誇る日本庭園は作れないだろう。人はこの世界観を目指して庭園を作っているように思われる。



 花が咲き、雪が積もり、池があり、岩があり、緑が茂り、全てが揃っている神々の庭。


 岩の上を跳ねるように登っていく。岩、岩、そして岩。


 岩とウコンウツギ


 北沼を縁取る雪渓が崩れ、蒼い光が漏れ出していた。


 美しきトムラウシ山。



 トムラウシ山頂から。


 南沼キャンプ指定地に泊まった。さすがトムラウシ、テントの花が咲いている。


【4日目】
山行: 10時間3分 休憩: 8分 合計: 10時間11分
南沼キャンプ指定地04:14 -> 07:38三川台07:40 -> 09:37ツリガネ山の肩13:14 -> 美真岳13:16 -> 13:41カブト岩13:45 -> 14:25双子池


 トムラウシ山から黄金ヶ原へと降りていく。そこはロストワールド、テーブル大地のように見える。


 さて、黄金ヶ原の三川台から美瑛岳までの間は、エスケープルートがなく、一度標高がぐっと下がるのでその分だけのちの登りがきつくなり、またこの区間を縦走する人は少ないので藪こぎの多いしんどいルートとなる。(ということを今ここに書いているのだが、このルートを歩き終えた後で知り得たことである。)このような藪を掻き分けて進み、そして藪は水に濡れそぼっているので、雨具を着ていても靴の中は水浸しになり、グチョグチョと音を立てる始末だ。


 眼下に広がる雪渓。


 標高が下がるので植生が変わる。ヒグマが通りやすそうな雰囲気を醸し出していた。実際地図上にもヒグマ注意の文字。手を叩いて音を鳴らしたり、音が行き渡る場所で声を上げたりしながら進む。


 広がるハイマツの森。力強くしなって分け入る体を押し戻し、前へ進むのを阻止しようとする、生命力の強いハイマツの枝。美しき難路。



ミヤマオダマキ



エゾツツジ


 さてこの晩の宿泊地であるが、2日ほど前から反対方向へと縦走しておりすれ違った別々の二人から、今晩テントを張る予定であった双子池キャンプ地はまったく雪渓に埋もれてしまっているとの情報は聞いていた。しかしながらこの区間は距離も長く、また双子池キャンプ地の先にあるオプタテシケ山では急登の標高差600メートルが待ち構えているため、なるべくならばその辺りでどうにかテントを張れる場所を見つけたいと思っていた。
 はたして雨が降る中キャンプ地が近づいてくると、朝方我々を追い抜いていった二人組のパーティーが、双子池キャンプ地の少し手前にあり水場となっている双子池の狭いスペースにテントを張っているのを見かけたので、その場所を覗いてみたら、後から来るだろう我々のために場所をテント一張りぶん開けていてくれた。ありがたや。

【5日目】
山行: 6時間16分 休憩: 1時間37分 合計: 7時間53
双子池06:28 -> 06:45双子池キャンプ指定地06:47 -> 09:41オプタテシケ山10:14 -> 10:28オプタテシケ山北西稜頭10:30 -> 11:49ベベツ岳12:47 -> 13:29石垣山13:31 -> 14:21美瑛富士避難小屋


 待ち構えているオプタテシケ山の標高差600メートルの急登。


 双子池にはこれほどの量を見たことがないカエルの卵が。


 オプタテシケ山の登山道は雪渓で埋もれていた。雪渓を直登して山頂を目指す。初夏の雪渓はグズグズに柔らかく、簡易アイゼンの刃は雪の中で容易にずり落ちる。滑落しないように慎重に歩を進める。ストックを持ってきていればもう少し楽であったろう。
    どこから雪渓に埋もれた登山道が姿を現すのか、GPS連動の地図なしでは見つけるのが大変である。


イワギキョウ


オプタテシケ山頂へと続く、両側が切り落ちた稜線。



 切り立った稜線に咲くエゾノツガザクラ。


 かわいいマルハナバチ。


 白、黄色、紫、色とりどりの花々が咲き乱れる。


ヨツバシオガマ


 ナキウサギの鳴き声が頻繁に聞こえる。時たま姿を現し、すばしっこく動き回りながら植物を食べている。


 この晩は美瑛富士避難小屋に泊まる。総勢3名。

【6日目】
山行 9時間7分 休憩 1時間13分 合計 10時間20分
美瑛富士避難小屋04:21 -> 06:21美瑛富士07:00 -> 美瑛富士分岐08:29 -> 美瑛岳08:32 -> 08:52美瑛岳分岐08:54 -> 09:32美瑛谷1稜の頭09:33 -> 09:45美瑛谷3稜の頭 -> 11:38鋸岳11:40 -> 11:59平ヶ岳12:01 -> 12:25十勝岳13:25 -> 14:15大砲岩14:18 -> 14:41上ホロ避難小屋


 美瑛富士での雪渓トラバース。滑落しないよう慎重に。
   


 猛々しい美瑛岳。


 美瑛岳山頂にて。雲の上を飛び、雲に飲み込まれ、まるで空を飛んでいるようである。


 生きた火山である十勝岳へと入ってきた。景色が一変し、登ろうにも一歩一歩がズルズルと滑り落ちる、モロモロに崩れた火成岩の積もる世界となる。この急坂を直登だ。


 火星にでも来たような荒涼とした大地である。波紋のように周期的に地面が波打っている。


 十勝岳の岩が積み重なる山頂が見えてきた。


 十勝岳は生きた火山である。山頂から見下ろす火口からモクモクと白煙を拭き上げていた。


 色とりどりの火成岩が転がる。軽石が多い。この大きな塊は金属光沢を放っていた。


 活火山の荒涼とした尾根。


 安政火口を見下ろす。むき出しの地殻が美しい。


 上ホロ避難小屋に泊まった。総勢3名。


【7日目】
山行 6時間40分 休憩 1時間55分 合計 8時間35分
上ホロ避難小屋04:39 -> 05:05上ホロカメットク山05:19 -> 05:48上富良野岳05:49 -> 06:27三峰山06:44 -> 08:01縦走路分岐08:18 -> 08:53富良野岳09:50 -> 10:12縦走路分岐11:29 -> 上富良野岳分岐11:30 -> 11:51新D11:54 -> 12:07新Z12:08 -> 12:21旧Z12:30 -> 安政火口12:33 -> 12:41新Z12:42 -> 13:12十勝岳温泉凌雲閣


 とうとう最終日である。

 まだ日の登らぬ早朝2時に起き、まずはヘッドライトを装着して小屋の外に出ると雪渓の水を煮沸消毒して飲料水作りからはじめたのだが、そうこうしているうちに美しい朝焼けが訪れる。山の早起きは三文どころか三十文の得である。


 平坦な雲海は海となり、山は島々となる。


 朝日を浴びて輝く、朝露に濡れたイワヒゲ。


 十勝岳の噴煙が横へと棚引いていく。


 最終日は雲ひとつない晴天に恵まれた。上ホロカメットクから望む富良野岳。


 ギザギザの古い刃のような稜線。


 露をまといキラキラと輝いてとても美しいチングルマ。花が落ちたあとの羽毛である。


 大雪山縦走の最後の山、富良野岳が見えてきた。


 とうとう富良野岳山頂に到着。大雪山縦走を果たした!感無量であった。


 十勝岳温泉へと下山し、バスで吹上温泉白銀荘へ向かった。疲れた体を露天風呂に浸けるととろけていった。

 合計距離: 78 km
 累積標高: 4,840 m