2020/09/27

川は蛇行していて初めて生態系の一部

釧路川。この川はカヌーをやり初めてから、たしか二番目に下った川。だから原点の川でもある。そしてその当時と変化した所が一つあった。湿原領域で人為的に流れを直線化されていた区間があったが、その半分が、ただの沼と化していた旧河川へと繋ぎ戻され、蛇行を取り戻していた。

「蛇行」しているのが川である。コンクリートで囲まれていても囲まれていなくても、蛇行していない川はもはや川ではない。日本の多くの川は川ではない。蛇行していて初めて生態系の一部なのである。大袈裟な環境活動家の発言に聞こえるかもしれないが、蛇行したまま手付かずでいる川に一度入ってみれば、そこで繰り広げられる生命活動の違いに大いに驚くことだろう。

蛇行していて洪水が発生するから、洪水は異常事態だから直線化した。それはまるで、人間は汗をかいて初めて生理機能を維持できるのに、汗をかかれると肌に住みついている我々にとっては洪水となって困るから、全身をプラスチックでコーティングしてみた、というようなものである。死んでしまうのだ。

だからといって人類は平野部から撤退し山間部へ移動するわけにもいかない。大きな目で見れば人間も他の生物となんら変わらず、組み込まれたDNAに従って平野に繁殖しただけだ。善も悪もない。このままでは繁殖し過ぎて生態系のバランスを完全に崩し絶滅するかもしれないが、それとて他の種が繁殖と絶滅を繰り返す歴史とあまり変わらないことであり、力強い生命体はまた何億年とかけて、生き残ったDNAから新たな高等生命体へと進化するだろう。もう二度と飛行機にも車にも乗らない、暖房も冷房も使わない、というわけにはいかない。そう考えた途端、自己矛盾、己のDNAとの自己矛盾に陥る。

せめて今できることは、その進化して新たに獲得した脳組織を使って、いま何が起きているのかしっかりと理解することだ。進化の過程の中にいる人間としての自分が何をしているのか、取り敢えず良い悪いという概念に嵌めてみるのではなく、ちゃんと把握しながら、一生命体として生存活動を続けなければならない。全ての個人がその共通認識を持てれば、人類全体が変わっていく。私はそう考えている。


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