2015/10/15

とりわけ素晴らしい蛇行










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 今朝は僕にとっての初霜だ。朝日を浴びて、霜をまとったテントがきらめく。
 ベカンベウシ川で汲んだ水が、コッヘルの中で湯気を立てる。朝の珈琲をドリップする。枯れ葉散る大空、そしてどこまでも蛇行する川を眺め、深く静かに香りを楽しむ。
 昨日の雄鹿と雌鹿二匹が、蛇行一つ向こうで、枯れ葉を踏み、森を移動する。

 出発してから六日間、玄米と、焚き火で調理しただけのものという、シンプルだがこの上なくうまい食事を続けている。今朝、スーパーで買った梅干しを食べてみた。化学調味料っぽい、強烈な、何かおかしな味がする。舌先がしびれる感じがする。
 とくに自然食品主義というわけではない。たまにはマックでハンバーガーも食べる。
 しかし残りは捨ててしまおう。まずくて食えないのだ。
 原野で生きるということを三日も続けてみれば、自分の感覚が変化するのを感じとれる。味覚もだ。

 蛇行を続け踊る川。今日はとりわけ素晴らしい蛇行に出会う。180度ターンを越えている。落ちかけた水滴の輪郭のような、角の取れたΩのようなカーブだ。Ωの首にあたる部分で、川の流れを区切る土壁の幅が大木一本分という極限のところまで、自身の下流部に一旦近づき、外へと膨らんで270度ぐらいの弧を描く。あとわずかな年月で、土を抱え込んで水の浸食から土壁を守っている大木もとうとう音を上げ、水流が根ごと土壁を削り取り、大木は水中へと倒れ込こみ、より直線的で流れやすい新たな流路が生まれるだろう。そして取り残された流れが三日月湖となり、新たな生命の揺りかごとなる。

 今日も次から次へと現れ川を塞ぐ倒木と格闘する。いつもより倒木が多い気がするのは、ソロであるためか、水位の違いか、それとも実際そうなのか。


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