UMIACK

2022/08/15

躍動する半島

日本徒歩縦断の達成後、いったい我は何を感じたのか。その晩は佐多岬で夕陽を眺めていた10人ほどが帰った後も、たった一人だけで街灯ひとつなく自然の明かりだけに優しく包まれた岬に留まり、朝を待った。真夜中に見下ろす大海原が月に照らされて黄金色に揺れるススキの原のように輝いているのを見た時に、今夜ここで世界が終わるとしても満足だという感覚が、心へ静かに、しかし拭いようもないぐらいにしっかりと染み渡っていった。

しかしそれは表面的な一つの出来事であり、より深くは達成後に坐禅の一つでも組み身体の中からじわりと滲み上がってくるものをしっかりと観察する事で得られるのだろう。慌てる必要はない。我という自然の産物の中にはチタンの轍がすでに掘られている。

真夏日の佐多岬。暑い。夜も大地に蓄積された熱で寝られない。しかし人間の狭い快適温度などいったいどれほどのものなのか。夕陽に染まった沸き立つ入道雲。溢れる地球の生命感。真冬の吹雪に凍てついた雪山の美しさと対極的にまた、暑さに悶え太陽のエネルギーが躍動し流動する太平洋へと突き出た半島は、あまりにも美しい。

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