2012/04/14

ザ・ケネウィックマン・エクスペディション、13日目



午前七時に起床。テント内の気温は五度。



午前九時ごろ、昨日知り合った日本人のマサコさんが、差し入れをテントまで持ってきてくれた。海苔が巻かれた梅干し入りのお握りと、漬物は、日本を離れてから二週間たつ僕の心を汲み取ったマサコさんからの最高のもてなしとなり、食べると元気が湧いてきた。



午前と午後の二回、カヤックに帆を取り付けて帆走テストをした。ヨットを含めて、帆を扱うのは初めての経験であり、ヨット教本で学んだつもりの知識を試してみた。

水の流れのないケネウィック港内では、穏やかな風を受けて、速足程度の速度で静かに進んだ。初めての帆走に、「おおっ、凄い!」とひとしきり感動する。

港を百八十度回り込んで、雪解けで水量が多く流れが速いコロンビア川に進入してみた。風は、上流を向いて一時の方向から吹いていた。向かい風を受けながら上流へと進路を取り、風の流れと水の流れに逆らって前進できるものか試してみる。しかし、帆の推進力だけでなく、パドルで漕ぐ力を足してみても、早い水の流れに負けてじりじりと後退してしまう。これでは、上流にあるケネウィックマンの骨が発見された場所までカヤックを漕ぎ、そこから旅をスタートさせたいという希望は、諦めるしかないのか……



夜は、ホテル・クローバーインで総支配人をしているマークの好意で、ホテルのディナーをご馳走になる。