2012/04/25

ザ・ケネウィックマン・エクスペディション、24日目



カヤックに取り付けた帆は、ヨットの帆と良く似た構造をしているが、カヤック本体がヨットに比べて格段に小さいために、帆はかなり簡略化されている。そうなると帆を下しても畳まれずに、ただ水面にまでだらしなく落ちてしまい、それが妨げとなってカヤックを思う方向へ進ませることが出来なくなってしまっていた。

上陸する時や強風が吹いている時は、風から受ける力を小さくするために、帆を完全に下すか縮小する必要がある。その際にカヤックがコントロール不能な状態に陥ってしまってはとても危険なので、頭を捻ってどうにか帆に一工夫する必要があった。

さいわい良き友人達に恵まれて、六日前にケネウィック市でフィルのヨットに同乗することができたので、その時に帆の構造をつぶさに観察していた。そのおかげで似たような機構を手持ちのロープで作るアイデアはすでに浮かんでおり、午前中はその改良を試みた。

またその際、帆柱に取り付けたロープに、ケネウィック市でフィルと一緒に買った海賊の旗を掲げた――楽しもう。我孤高の海賊なり。



日射しが力強い。丘の上からコロンビア渓谷と空の大パノラマを眺めていると、心がまるで大地に溶け込んでいくようだった。